s.h.d.c.

□HEAVEN-42
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幼き日に別れてしまった兄弟。

兄は弟を守るため両親の仇を討つ為に戦い、弟は全てを思いだしそれでも一人の少女との未来の為に戦う。

紅い月の下で兄と弟の戦いは激しさを増していた。


「キバット」

『ウェイクアップ・ワン!』


裕理の声にキバットU世が答えるようにウエイクアップフエッスルを一回吹かせると、空に浮かんでいた紅い月が不気味に輝いて裕理はそれをバックに高く飛び上がり、魔力を腕に込めるとそれを勢いよく湊目掛けて振り下ろす。


「うわっ!!」


湊はそれをまともに喰らい鎧から火花が散りそのまま転がり苦しそうに呻き声を上げてしまう。

ハッキリ言ってあれを生身で喰らえばただではすまない。

奏也がプロテクションで受け止めていたが、あれはそれをいとも容易く破り奏也にダメージを与えていた。

いまだに奏也が立ち上がれないだけに威力は絶大なのは見て分かる。


「……ふん」


地面に転がる湊を裕理はただじっと見下ろす。

まるでお前の力はこの程度なのかと、言わんばかりの裕理に湊はゆっくり立ち上がりベルトに装着させていた己のデバイスである、シルメリア・エクリプスを起動させ自分の手に黒と白の双剣を掴む。

両親が湊に残してくれたデバイス。

その形見のデバイスを裕理は仮面越しに懐かしむように見つめる。


「メリア!」

『いきますよ、マスター!』


双剣が光と闇に包まれ湊は裕理に接近して、その刀身を振り下ろす。


「ほう…」


その一撃で裕理の鎧は十字に切り裂かれながら火花を散らす。

ダメージはそこまでなかったのか、裕理はそれを喰らいながらも湊を掴むともう片方の手で殴り飛ばし、湊はシルメリアごと吹き飛ばされていく。


「湊!」

「くそ…っ!俺達も動ければ…!」


先程の裕理との戦いで悠季も奏也もかなりのダメージを喰らい全く動けないでいる。


「どうした湊、まさかその程度なんて言わないだろうな?」


裕理から発せられる微かな落胆の声に倒れていた湊はゆっくり起き上がり、シルメリアではなくもう一つのデバイスであるアルテミスを起動させ、ブレイズフォーム形態になり二丁拳銃を手にし裕理に向けていた。


(シルメリアにアルテミス……か。父さんと母さんの作り出したデバイス。やはり湊に持たせて正解だったか)
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