s.h.d.c.
□HEAVEN-42
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湊の鎧はバチバチと火花を散らせ、湊は体を地面に強く叩きつけたうえに変身を解いてしまうのだった。
「…ぐっ……はっ……」
生身の姿に戻り苦しそうに悶える湊に、悠季と奏也が駆け寄ろうとしたが裕理がそれを遮りマントを靡かせる。
これは兄弟の戦いであり部外者は関わるなと、裕理は殺気を二人に放ち二人は顔を歪めたままその場で固まってしまう。
『湊!』
『マスター!』
『主!』
倒れる湊に声を掛けるキバットとシルメリアとアルテミスのデバイス達。
なんとか湊に立ってもらおうとするが、湊は先程のダメージのせいか腹部を抑えて苦しそうに息を吐いていた。
「…くっ…がはっ…!」
まだ倒れる訳にはいかない。
ここで自分が負けてしまったら、悠季と奏也が兄さんと戦う事になる。
二人はまだ戦えるだけの体力も魔力も回復していないのに戦わせる訳にはいかない。
自分が兄さんと戦うしかないんだ。
「湊よ、お前は自慢の弟だ。だからこそもうここで眠れ」
大剣を振り上げて倒れている湊にトドメの一撃を放とうとする裕理。
強大な光に包まれる大剣を喰らえば、湊は間違いなく死んでしまうだろう。
「……まだ倒れる訳には」
湊の脳裏に叶と交わした約束が思い返されるようによぎった。
『湊くん』
『……んっ?』
『帰ってきたらいっぱい遊びに行こうね』
『……うん』
『約束だよ!』
叶の笑顔を曇らせたくない。
約束を破るなんてできないんだ。
「終わりだ湊ーー!!」
振り下ろされた大剣を湊はシルメリアを起動させて双剣で受け止めると、歯をくいしばりそれをゆっくりと押し返していく。
「何だ、まだ戦えるのか?」
「俺は叶と約束したんだ。だから…ここで兄さんに負けてなんかいられない…」
力を込めた一撃で大剣を弾き返し、湊は裕理から離れて目を閉じながら息を吐く。
シルメリアを待機状態に戻しキバットを手に持ち、もう片方の手にキバットを噛みつかせステンドグラスのような模様が顔に浮かび、湊は再び腰にキバットを装着させて変身した。
「いくらその姿になろうが俺には勝てないぞ」
「…俺にはキバットだけじゃない。シルメリアやアルテミスもいるんだ…」
まるで湊の言葉に答えるようにシルメリアとアルテミスが輝きその輝きは鎧全てを包み込む。