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「沖田さん」
私は近くにいる沖田さんに話しかけた。
彼は私の声が聞こえるとくるりと向いて笑顔で言葉を返してくれた。
「どうしたの？」
私は手にもっている団子を彼の前に持って行って、「一緒に食べませんか？」と一言小さく呟いた。すると彼は優しく微笑んで私の頭を撫でて、
「へぇ？じゃあ貰おうかな」
とだけ呟いた。私は団子を彼の隣において
食べようといるけれど彼は食べようとしなかった。
「食べないん…ですか？」
私が寂しげに呟くと彼は私の方に向き直って、口を開けた。
私は彼の行動が分からず首を傾げていると
苦笑した彼が「食べさせてくれるんだったら貰うよ」とだけ助言してくれた。
「食べさせる…って…」
私が戸惑っていると彼はため息をついて
団子を持った。私は自分がためらっていたことに後悔して少し顔を俯けていた。
「ねぇ」
彼に呼ばれて俯いていた顔を上げると口の中に醤油の香ばしさと甘さが口の中に広がった。
「な、なにふるんれすは（何するんですか！）」
「キミが落ち込んでたからさ。代わりにやってあげただけだよ」
彼は薄く笑って私を見た。私は彼の顔が見れなくて再び俯く。
だってさっきのはー…、
−間接キスだから。
もうひとつ団子を食べるけれど、
さっきのような甘い甘い感触はもうなかった。