捧げ物置き場

□素晴らしき宝物
3ページ/20ページ

片桐様より頂いた素敵小説!!

  深秋蜻蛉  犬柿


最近、何だか暗くなるの早いね。トンボが沢山飛んでるね。半袖じゃあ、もう、寒いね。
…犬は、いつも温かいね。

つまんない学校午前中に抜け出してさ、犬と街中歩き回るの、嫌いじゃないよ。道端にいる不良を殴るのも、警察に目つけられて逃げ回るのも、終いには警察まで殴って(殴るのは犬なんだけどね)高架下まで走って逃げるのも…。
高架下、って何かアレだね、不良の溜まり場だとか、一目に付きにくいから恋人同士が軽く何かするだとか、そういうことしか思い浮かばないね。
帰る途中でゲームセンターに付き合わされるのも、日常的で良いじゃない。そういうの嫌いじゃないよ、僕は。あんまり遅くなるとまた怒られるよ、とか、今日の相手はまた外れだった、とか、そういう話も嫌いじゃないよ。
犬といてやることに、嫌いなものなんて、きっと、殆どないんだと思うよ。不良殴るのも、警察に追われるのも、高架下に逃げ込むもの…殆ど。
何でかな、僕と犬って、何か全然違うのに、それでも僕は犬が嫌いじゃないんだよ。そんなこと、口が裂けても言わない(というか言えない)けどね。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ