『夢幻の陽炎』−前編−


□旅の始まり
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「グラエナたんかわゆすなぁ……」


今日も今日とてポケモン三昧。
私、ルナは、
高校三年生のオタク女子だ。

春休み中の今、私は心置き無く
ポケモンオメガルビーをプレイ。
今は、ポケパルレで、愛しのグラエナたんを撫で回して愛でている。


今は丁度、3時のおやつ前のお昼寝の時間帯。なんだか、ウトウト眠くなってきたな……
ちょっと休もう。目も疲れたしね。


3DSの電源を切り、ベッドに横たわる。
間もなく、私は夢の中へ落ちた。











「…………ん……?」


あれ……ここは……?
あ、夢の中か。

またポケモンの夢だな。
この光景は、ミシロタウン?
というか、本当に過疎ってるんだなー……

目が覚めた私は、ミシロタウンと思われる町の
草むらの上に倒れていた。

ゲームの中のミシロタウンそのままで、
主人公の家とライバルの家、
そしてポケモン研究所。
建物は、この3軒しかない。


「うーん……どこに行こう?」


立ち上がり、歩き出そうとした時……



『ねぇ、お姉さん』

「ん……?」


誰かに呼ばれた?でも、姿が……


『下だよ、お姉さんの足元』


そう言われて、視線を下げれば……
そこには、ホウエン御三家の炎タイプ、
アチャモがちょこん、と座って居た。


「…………あれ??」


ちょい待ち。今、私に話しかけたの、
アチャモだよね……??
何で、言葉通じてるの……?


「あの、えっと……アチャモ、だよね?」

『うん、そうだよ。僕が話しかけてる。
お姉さん、僕の……ポケモンの声が解るみたいだね?』


え、何これ……夢じゃないの?!

やけにリアルな感覚にハッとした私は、恐る恐るアチャモに触れた。


「……あったかい……」

『当たり前でしょ、生きてるんだから』

「あ、ハイ……」


これは……まさかの、トリップってやつですかい??
というか……!!


「アチャモが冷たい!私の手持ちのアチャモは、無邪気な子なのに!!炎タイプなのに!!」

「ああ、僕?冷静な性格だからね。
炎タイプが全員熱血とは限らないよ」

「それもそうだね……」


とても冷静なアチャモのお陰で、
私は割と早く、自分の現状を理解出来た。


アチャモの話によれば、アチャモが
木陰でお昼寝をしていたら、突然私が
光に包まれて現れたらしい。

私は、ゲームの外の世界から来た事を
軽く説明して、一緒に研究所へ
来て欲しい事を伝えた。


アチャモが了承してくれたので、
私はアチャモを抱っこして、
オダマキ博士の元へと向かった。





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