すーさいどちゃん!
□生活費の稼ぎ方
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「ただ今戻りました。」
昼時の日差しが高い頃、すーちゃんがよし子宅に帰宅した。
よし子が起きる前から朝早く外出していたようで、置手紙が机の上には残されていた。
「おかえりなさい。朝から何か用事があったの?」
よし子が昼食を用意してやると、すーちゃんは持っていた荷物を降ろして机の前に座った。
そしてその荷物の中から箱を取り出す。
なぜか箱のふたには水引の印刷がされていた。
「よし子さん、お年玉です。」
「まだ早いわよ…って、私にくれるの?」
手にちょうど収まる横幅の手ごろな箱。
しかしお年玉と水引は一切関係ない。
それを開けると、そこには一万円札がぎっしり入っていた。
よし子は目を真ん丸にしてすーちゃんを見る。
「こ、これどうしたの!?」
「この前作ったアサルトライフルをよし子さんが怖がったので売り払ってきました。」
ビシッと親指を立てるすーちゃん。
よし子の心は穏やかでない。
「あんな危ないもの、誰に売ったのよ」
「えーっと、こるこ30(サーティ)とか名乗ってました。」
「それ偽名でしょ!というより30って入ってる時点で人名じゃない!」
「大丈夫です。銃を扱うのは彼女の本職らしいので」
「まさかの女性!?」
突っ込みどころしかない取引の現状によし子は頭が破裂しそうだった。
目と眉が近い険しい顔をした女性の顔が一瞬脳裏をよぎったが考えないことにした。
「では、いただきます。」
話は終わったと言わんばかりにすーちゃんは昼食を食べ始める。
よし子はこれでようやくすーちゃんの生計の立て方を把握した。
その器用さを生かし、ありとあらゆるものを作っては売っていくのだ。
「次は特殊な[れいでぃお]に挑戦しようと思っています。」
「…ラジオね。そんな明治時代の人みたいな発音しなくていいから」
よし子は水引の箱をそっとタンスにしまっておくことにした。