すーさいどちゃん!
□ネットサーフィング
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カタカタ…カタカタ……カチッ
パソコンを使う音がする。
洗濯中のよし子は、ちらりと居間を見た。
今日も今日とて謎の居候少女すーちゃんがいる。
そのすーちゃんは何やら熱心にパソコンに向かっている。
ちなみにパソコンはよし子のものだが、よし子はうまく扱えない。
その点すーちゃんはパソコン技術に精通している。
洗濯にひと段落つき、よし子はパソコンを覗いてみた。
自殺系サイト"
「えぇ!?」
「!?」
すーちゃんがビクッとして振り返る。
相当のめり込んでいたらしい。こんなサイトに。
「驚かさないでください。」
「あんた、そんなサイト見るのやめなさい。」
少しキツめに言ったのだが、口調の事は完全に無視してすーちゃんは烈火のごとく語りだした。
「何を言うんですか。このサイトは私の活力です。日々サイトの閲覧者と情報交換をし、いかに効率的に、かつお手軽に死ねるかを模索するのです。日を追うごとにこういったサイトは閉鎖されてしまって、もう残り少ないのです。仮にこのサイトまで無くなってしまえば本当に手段をいとわなく私は死んでしまうでしょう。」
「でもそのサイトでいい死に方があれば…?」
「実行します。」
「結果死ぬんじゃないの。」
「すーさいどちゃんです。」
何故か最後はキリッとまとめられた。
夜。
よし子は慣れないパソコンをいじっていた。
すーちゃんは寝ている。
「削除依頼…削除依頼…っと。」
いくらなんでも自殺系サイトを見逃すわけにはいかない。
すーちゃんの自殺行為はよし子がそばにいれば止められる。
けれどサイト利用者の自殺までは止めることができない。
ようやく昼間見たサイトにたどり着いた。
サイト管理者にメールを送る。
キーボードに未だ慣れない。
必死にアルファベットを探して文字を打った。
力尽きる頃、メールを送信した。
数分後、よし子のパソコンにメールが来た。
よし子が送ったメールだった。
サイトの運営者がすーちゃんだったのだ。
よし子は徹夜でサイトを消した。
次の昼。
疲れてよし子が寝ている間に、サイトはあっという間に復元されていた。
ベテランネットサーファーをなめてはいけない。