Halloween in Moon World

□【4th】ご機嫌ナナメガール
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人間界での明朝に当たる時間。
ハロデアの部屋に三人の従者が集められた。
明かりの絞られた薄暗い部屋に潜むように、小さな声でハロデアは呼びかける。

「いい、何があっても気取られてはいけない。今年のハロウィンはいわば決闘よ」

その顔はいつになく真剣で、緊張の色に包まれていた。
三人の従者――ヴァンパイア、ウィルオウィスプ、キョンシーはハロデアの言葉の続きを待つ。

「あなたたちにはそれぞれやってもらいたいことがあるの――」

ハロデアがその先を具体的に伝えようとしたとき、部屋の扉が勢いよく開かれた。
そして屋敷のもう一人の住民が飛び込んでくる。
寝間着姿のカロデアだ。

「ねー!聞いてよ!信じられないくらいヤな夢を…あれ?こんな時間にみんな何してるの?」

悪夢によって睡眠を妨害されたことを訴えに来たカロデアは四人の視線に驚いた様子を見せる。
普通ならこの時間ヴァンパイアは屋敷にいないしウィルも体を休めているはずだった。
何か必要性の高い話し合いをしていたことはカロデアにもすぐわかった。

「…何でもないわ。」

ハロデアはカロデアの登場にそっけなく返す。
そのあと小さな声で「追って連絡するから」と三人の従者に伝え、下がるように言った。
ウィルはその場ですぐに燃え消え、ヴァンパイアは蝙蝠の姿になって開いていた窓から出て行く。
キョンシーはというと薄暗い部屋の明かりを強くしたあと何事もなかったかのようにカロデアに笑顔を向け、椅子に座るよう促した。
当然、カロデアはハロデアの返事に納得しない。

「ちょっと、何でもない事ないでしょ!?…キョンシー、何の話してたの」

ハロデアが口を割らなそうだと察知したカロデアはすかさずキョンシーに睨み迫る。
困ったように後ずさりするキョンシーに「主」であるハロデアが一喝。

「キョンシー。」

キョンシーはその声色に圧倒的重圧と支配感を覚える。
もちろんカロデアに今聞いた内容を話すことなどできなかった。

「あ、主のお許しなく発言はできません故…」

「〜〜…!」

それを聞いたカロデアは言葉にならない苛立ちの感情をあらわにすると扉を勢いよく閉めて部屋から出て行った。
ドスドスとわざと大きな音を立ててカロデアが去っていくのをキョンシーは冷や汗と共に聞いていた。
ハロデアは大きくため息をついて机に突っ伏す。

「はぁ…今回は負けられないのよ――」

ハロウィンまで、あと一か月。
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