〜GAME〜

□第三話『ターゲット』
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今とても危険な状況の校内で単独行動はかなり危ない。はやく人を
見つけ出さないと…。
ポケットから携帯を取り出して、着信履歴の上の方にあった由宇真
の番号に電話をかける。
《もしもし、リン?今どこにいるの?》
電話が繋がりホッとして、自分のいる場所を確認した。
「んと…美術室の前」
《分かった。じゃあ今からそっち行くから待ってて》
由宇真が言い終わると、他の三人はわーわーと騒ぎ出した。携帯越
しに聞こえるみんなの声に安堵の溜め息が出た。
しばらくするとバタバタと足音が近づいてきた。
「ふぅ〜、合流!やったな」
一が満面の笑みで私を見つめる。
「リンちゃん、一人で怖かったでしょ」
智久くんと要ちゃんが申し訳なさそうな目で見てきた。私は少しだ
け微笑を浮かべながら返す。
「ん。ちょっとだけね」
「リン、ごめん」
頭に何かがふわっと乗っかり優しく頭を撫でられる。見上げると由
宇真が悲しい顔をしていた。
「大丈夫」
私はにこっと微笑んでみせた。
カタッ
何かが小さな音を立てた。嫌な予感が脳裏を過(よ)ぎる。



「…行ったか…!?」
啓太は少し興奮気味に実験台の中から顔を出す。
「行ったようだね」
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