黒猫と三毛猫(小説)
□◇3章 慟哭
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「んぅー…」
小さく鳴る携帯のアラームによって目が覚めた。
あー、だめだ…
頭が働かない…
ふわりと香る甘い香りと、心地よい体温によって再び落ちかけそうになる瞼を無理矢理開けて、ご飯の用意でも…と思って、しっかり体に絡み付いている良平の腕を外してベッドから出ようとした。
しかし…
「わっ…!」
腕を引っ張られて、ベッドへ逆戻りした。
「どこ行くんだよ…」
寝起きの少し低めの声に、心臓が跳ねる。
そのまま、ちゅ、ちゅ、と耳の裏にキスされる状況が恥ずかしすぎて、どうにかしようと慌てて口を開く。
「えっと、ちょっとご飯を…!ほら、学校だし!」
「あー…学校か…。」
もともとあんまり学校来てなかったし、今日も来ないのかな…
「祐一郎が行くなら行く。制服とってこないといけねぇから、ちょっと部屋出るな。」
「あ…分かった。」
一緒に学校行けるのが嬉しくて、つい顔が綻ぶ。
「…んな可愛い顔すんな。襲いたくなる…」
「はいっ!?だ…だめだからなっ!」
「分かってるって。あ、ついでに佐久間の制服も持っていってやるよ。」
良平は浩二の制服を持って部屋を出る。
俺は朝ごはんに、2人分のフレンチトーストを作りはじめることにした。
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「祐一郎、準備出来たか?」
ネクタイを締めおわったところで、良平がドアを開けてきた。
わ、なんか久しぶりに良平の制服姿見たけど、やっぱり格好いいなぁ…
「おい、ボーっとしてるけど大丈夫か?」
「あ、大丈夫大丈夫!」
「その反応は大丈夫じゃねぇな。やっぱりまだ腰痛いのか?」
「え、違、ただ制服姿の良平久しぶりに見たから見惚れて…っ」
心配そうに聞かれて、ついうっかり口が滑ってしまった。
その後俺が、腰がガクガクになるような深いキスをされたのは言うまでもないだろう。