黒猫と三毛猫(小説)

□◇2章 自覚※
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「誰とペア組んだー!?」
「僕は雄磨くんと!!」
「いいな〜!僕なんかさー…」

キャピキャピと自分のペアを自慢する子や、嫌な人とペアになって不機嫌な子を俺はチラリと見る


クラスは明日の開校記念日パーティーの話題でもちきりだった


「盛り上がり方が異常だろ…」

「ナイスカップルコンテストなんてあるからな。あわよくば好きな人と…って感じなんだろ。」

「なるほどなー」




親衛隊のせいで、古賀達が軽く軟禁状態になってからあっという間に5日たった


あのチクチクとした視線はだいぶ減り、俺たちは制裁などもなく平和に過ごしている


「平和だな…浩二」

「あぁ、お前の数学のテスト以外はな」

「……」



せっかく忘れてたのに…!!

数学のテストなんていいんだ、もう忘れ…

「俺、0点のテストなんて初めてみた」


「浩二のばか…知的馬鹿…」

「意味分かんないぞ」




3日前の藤ちゃん(数学の先生)のテストで、俺はまさかの0点をとっちゃったんだよなー…


あ、古賀達がクラスに来たときに藤ちゃんが言ってた授業内容確認テストね


色々あったせいですっかり忘れてたんだ…



「返却の時の、藤ちゃんの目が恐かった…」

「あの点数はさすがにな」


「うぅー…浩二は何点だったんだよー」

「100点だ」


「…浩二に聞いた俺が馬鹿だった」



俺が机の上でえぐえぐしていると、澤田がドアをガラリと開けて教室に入ってきた


「席つけー。明日の開校記念日パーティーについての、追加連絡だ。コスプレの衣装は、明日の朝に先生が手分けして各自の部屋に届けにいくらしいから、くれぐれも寝坊しないように。あと、ナイスカップルコンテストはもう締め切ったから、辞退とか受け付けないからな。以上」




…ギリギリまで衣装が分からないってことか

嫌なやつが来たら最悪だな


「なんか理事長の趣味丸出しだよな…このパーティー…」

「あぁ、照さんらしいな」



…あー、浩二も照さんの餌食になったんだっけ…

照さんのとこから部屋に帰って来たとき、なんかげっそりしてたし



「衣装が普通な事を願うしかないな」

「まぁ、俺たち平凡だし大丈夫だろー」

平凡には平凡な衣装が来るはず、うん




チロリロリン〜♪


「あれ?古賀からメールだ」


初期設定のまま変えてない(変え方が分からない)俺のメールの着信音がなる


古賀たちが部屋から出られなくなってから、俺と古賀はたまにメールするようになった


――――――――
5/24 8:37
from 古賀
sub 無題
――――――――

親衛隊は平気か?

――――――――



親衛隊の制裁を心配したメールに、心が温かくなる


浩二は塚田からよくメールが来るみたいだ


―――――――――
5/24 8:38
from 祐一郎
sub 無題
―――――――――

大丈夫!
メールありがとう!

―――――――――



返信をしてから、携帯を閉じる

6日前は、開校記念日パーティーが憂鬱だったけど、今は古賀に会えると思ってすこし楽しみになっていた


「祐一郎、顔がにやけてるぞ」


「…にやけてない!」



浩二だって、なんとなく嬉しそうな顔してるくせに


俺は不貞腐れたふりをして、授業のために教科書を取り出した






パーティーを少し楽しみにしていた俺が、明日の朝絶叫することになるなんて、俺はこの時知らなかったんだ…
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