逆十字架

□君と僕
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「それでは、失礼します」


謁見を追え、退出する。
がらんとした通路には、誰もいない。
時間が時間かと思い、苦笑。
静かに中庭を眺めながら、歩く。

ふと、眼前に一人の人物。
壁に身を任せ、視線は一点、こちらに向ける剣士。
クラウスは笑みを浮かべたまま、軽い挨拶をして通り過ぎようと思った。

短くなる距離。

声を掛けようと口を開いた瞬間、彼は、す、と壁から身を離す。
そして、何故かクラウスの眼前に立った。
先に進む事を拒むように。

「シグルド・・?」

開いた口からは挨拶ではなく、疑問の言葉が漏れた。
呼ばれた剣士、シグルドは眉間に皺を寄せながら、静かにクラウスを見つめる。


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