11/18の日記

01:09
負けた…!マスコットに負けた…!
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うたプリ(HAYA那)
※ほとんど中の人←


朝早くに寮を抜け出し
おはやっほーニュースの収録を終え
休憩する間もなく
その足で
私はスタッフの用意した
車へと乗り込んだ

今日は大型デパートの屋上で
特別ライブを実施する事になっている

卒業オーディションへ向け
学園で曲作りに励めないことは
心苦しくもありましたが
仕事なのですから、仕方ありません

今の私は
まだ
一ノ瀬トキヤではなく
あくまでも
HAYATOでしか、ない

移動中は曲を聴き込みながら
スケジュールの確認

到着した後は
裏口からデパートの中へ入り
控室で衣装チェックとメイクの直し
スタッフと最後の打合せをして
曲は流さないまま
ステージで簡単なリハをこなす

「じゃあ、HAYATO
時間までは待機しておいて」

「はいっ!
今日はヨロシクお願いしまっす!」

ビシッと敬礼して
軽い足取りでステージから降りる
時間まで…と言われても
そう長い時間ではない

あらためてすべき事もない為
このまま
舞台袖で様子見していようか

逡巡したのですが

咳払いひとつ
喉の渇きを感じて

確か階段の踊り場に
自動販売機があったはずだ

移動することにしました

普段は店員用の階段も
今日ばかりは
最上階の周辺を封鎖しており
スタッフ以外、使用することはない

「…ふぅ」

身に染み入る、水分
心へまでも
染み込むような潤い

誰もいない
このワンフロアでだけは
HAYATOを離れ
一ノ瀬トキヤでいよう、と
僅かに緊張をほぐす

その瞬間

カタン

物音が響いた

下の方…
いくつか下の階でしょうか?

折り返しの隙間から
ちらり
階下を見下ろす

スタッフならばいいですが
もし
常識外れなファンだとしたら
大問題になる

「………」

こちらの姿を
目撃されてはいけない為
恐る恐る
探り

ちらり
何者かの手が見え

スタッフとは違う服装に
一層
張り詰めて探る

足音が響く
上へ
屋上へ
昇ってくる、足音

ちらり、ちらり
見えては消える


しかし、ふと

「ああ、どうしましょう…」

声が聞こえて

その声に
…何故だか
私は聞き覚えがあって

(…まさか)

嫌な予感を抱きながら
ほんの少しだけ
身を乗り出し
姿を確認しに行く

(や、やはり…!)

乗り出した分だけ
成功した視認
その先
居たのは
知っている人物で

「何をやっているんです、あの人は…」

このままでは
最上階まで来てしまいそうな
その足取りに惑いながら

面倒を避けるため
飲みかけの缶を
ゴミ箱の上に預けて
私は自ら
階段を下っていく

「あれあれ?
どうして人がいるのかニャ?」

驚いた風を装い
HAYATOの声で疑問符を飛ばす
すると
私に気付いた彼も
また
驚いた反応をする

「あれ?HAYATO…さん?」

どうやら意図して
此処に来た訳ではないらしい

「君は確か…
トキヤと同じ学園の生徒さんだよね?
四ノ宮那月くん…だったっけ?」

「あ、はい、そうです」

「んーとね
ここは関係者以外、立入禁止
なんだけどニャ〜…」

本来なら怒鳴って
叱りつけたいところですが
HAYATOなので
諭すように優しい苦笑を浮かべる

「ご、ごめんなさい…
僕どうしてここに居るのか
よく分からなくて…
迷子みたいなんです…」

みたいなんです
って貴方
自分の事でしょうが

…まぁ
おおよその見当はつきました

記憶が曖昧だと言うなら
きっと眼鏡でしょう
まったく人騒がせな…

「迷子じゃ仕方ないね!
じゃあ出口まで送ってあげる」

「あ、いえ
ここってデパートの中ですよね?

用事があって来たんです」

「用事?」

まさかHAYATOに会いに来た
…なんて
言いませんよね
ファンと聞いた覚えはありませんよ

訝しみながら
うん?

小首を傾げて見せると

四ノ宮さんは、きゅんと微笑んだ

「はい!
今日は2Fの文具売り場に
ピヨちゃんが来てくれる日なんです!」

「…ピ、ピヨ……」

ハッ…
しまった
あまりの衝撃に
思わず素の声が…

「そうなんだぁ」

ミスを払拭するように
完璧なアイドルスマイル

…大丈夫
私はHAYATO
アイドルのHAYATO

前向き
不屈
天真爛漫
アイドルHAYATO

「じゃあ2Fまで案内してあげるね」

「お願いします!」

そうして二人
足並み揃えて
階段を下っていく

「フフ、不謹慎ですけど
こうやってHAYATOさんに会えたなら
迷子になったのも
ちょっとだけ良かったなぁ
なんて、思ってしまいますね」

凄いことですよね〜
なんて
間抜けに言ってくれますが

(アイドル候補性とはいえ)
一般人とアイドルが
こうして
階段を一緒に降りていること自体
道案内して、されている、こと自体
相当に異様ですよ、四ノ宮さん

それにしても
その言い様

「あれれ?
僕が今日ここでステージやるってこと
知らなかったのかニャ?」

訊ねれば彼は
少し罰が悪そうに笑って
はい
と、呟いた

………

大分、大々的に宣伝され
それなりに
噂されていたはず、なんですが

マスコットが来る
なんて
マニアックな情報は覚えている癖に
国民的アイドルの来訪を
まったくのスルーですか貴方

「すっごい混んじゃうと思うけど
良かったら那月くんにも
僕のステージ、見に来てほしいな!」

一ノ瀬トキヤとしては
あまり
言いたくはない台詞でしたが
アイドルとしては仕方ない

「はい!
ピヨちゃんに会った後
行けそうだったら
絶対に見に行きます!」

…絶対じゃないですよね、それ
行けそうだったら、って…

HAYATOの仮面の下
青筋が立ちそうになるのを
必死にこらえ

「あ、ここが2Fだね」

四ノ宮さんを無事に
連れてくることが出来た

私の心情は
あまり
無事ではないですが

「HAYATOさん
ありがとうございました!」

深くお辞儀した四ノ宮さんは
私に笑んだ後
振り返る事もなく
扉の外へと、消えていった

「………」

背姿を見送り
本当に
なんとも
思っていないのだ

思い知らされ

苦い味が染みわたる

私はHAYATOを好んでいない
はずなのに
HAYATOを意識されないことが
ほんの少し悔しい

そんな自分が
また
悔しいの、ですが

「ハァ…
気持ちを切り替えて行きましょう!」

一息で感情を振り払い
最上階へ向け
私は
軽やかに
HAYATOらしく足を踏み出した


その後


大盛況のステージの
その観客に
四ノ宮さんの姿を見つけることは
結局、最後まで出来ず

翌日

学園で遠目に見た彼は
翔に嬉しそうに
ピヨちゃんと握手した事を語っていた

…ええ
わかっていましたよ
私など、しょせん
その程度ということですよね

ふふ、ふふふ…

HAYATOとマスコットを置いた天秤
圧倒的に負けるだなんて

いえ、全然、まったく
敗北感なんて、抱いていませんよ?

ふ、ふふ…(涙)


::+::+::+::+::+::+::+::+::

どんまいトキy げふん。


前振り長い!←

別にHAYATOスルーした訳ではなく
ピヨちゃんに会った後
屋上へ向かっても
既に満席で規制されてたオチ
と、ここでフォロー(笑

まぁどのみち
ピヨちゃん>>壁>>HAYATO
…なっちゃん歪みねぇ!←

学園でトキヤに会った時は
「HAYATOさん優しいいいお兄さんですね」
なんて
ぽやぽや言い放ってくれそうです

HAYATOくん?
HAYATOさん?

かなり迷ったんですが
公式では「HAYATO」呼びな気が…←

でも面と向かった時に
呼び捨ては
なんか、なっちゃんぽくないなぁ…
で、こうなりましたとさ(汗




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