11/17の日記

01:08
にらめっこは不戦勝&不戦敗
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うたプリ(嶺那)


えー、僕達は今
早乙女学園の
レコーディングルームにいまっす

なぜって?

それはシャイニーさんの
突然の思い付きで
急きょ
呼び出されたからです

…今回は一体
何をやらされるのか…

期待一割、不安九割
という気分で
現在
僕達はブースの中で待機中

「何やらされるんだろうねぇ〜」

「そうですねぇ…
ふふ、とってもわくわくします」

「うわっ!
この状況を楽しんじゃうなんて…!
さすが、なっちゃん!
肝が据わってる!頼もしい…!!」

そう
今日、呼び出されたのは
僕となっちゃんの二人

普通なら指導対象である
オトヤんかトッキーが
呼び出されそうなものだけど
どういうわけか
今日はなっちゃんと一緒でした

まぁ
なっちゃんって優しいし
天然で面白い反応してくれるし
何より素直で可愛い…!
僕としては
全然、嬉しい組み合わせなんだけど

「わざわざ
レコーディングルーム集合にした
ってことは歌関係なのかな」

「もしかしてデュエットですかね?
うわぁ、楽しみだなぁ」

ああ、もうね!
こういう反応がね!
いいよねぇ
先輩後輩としていいよねぇ…!!

なんて
ほくほくしていると
ふい
マイクがガタガタと震えだして

「ハ〜ハッハッハのハ〜!
お二人さん
準備万端のようですネ〜!」

そこからバーンッと
シャイニーさんが飛び出してきた
…うん
今更
不条理には何も突っこまないよ〜?

「準備万端…って
僕ら
ただ待ってただけなんですけど…
今日は何をするんですか?」

「フッフフフ…」

シャイニーさんは不敵な笑みを浮かべ
ズビシッと
勢いよく
僕となっちゃんを両手で指差した

そして高らかな声で
堂々と言い放つ

「YOU達、にらめっこしちゃいなYO!!」

堂々と言い放った
うん
すっごい堂々としてる

「…にらめっこ、ですか?」

「ってぇ!
レコーディングルーム
まったく関係ないじゃん!」

ぽかんとするなっちゃん
堪え切れずにツッコミ入れた僕

軽くあしらい
シャイニーさんは親指グッ

「さぁ、Let'sにらめっこデース!
YOU達の最高スマイル
期待してますですヨー!!」

そして
出てきたマイクの中に
にゅるんと
吸い込まれるように消えていった…

…え?

え?

おいてけぼり?
僕達
二人っきりでにらめっこするの?
ジャッジもいないの?

「…あー…
どうしようか、なっちゃん…」

「にらめっこですよね?
ふふ、僕、負けませんよぉ」

「うわ、めっちゃやる気…!!!」

さすが天然(?)
この状況にも動じてないどころか
滅茶苦茶、馴染んでらっしゃる

「まぁ、そだね
やらないと帰れないんだろうし
ちゃっちゃとやっちゃいますか!」

視線を向けたブースのドアは
案の定
鍵が掛かって
出られないようになっていた

何本勝負なのか、とか
細かいことは
気にしても仕方ない

僕達はブースの中
向かい合う

「じゃあ、いっせーのでいくよ!
あっぷぷー♪までは
目を閉じてないと駄目だからね?」

「はい!
よろしくお願いします!」

にらめっこなんて、いつ以来かなぁ
ふっふふん
ここは思いっっきり変顔して
先輩の威厳というものを
示してあげようじゃないか!

なっちゃんと両手を繋ぎながら
自信満々
僕は目を閉じて合図する

「せ〜の
「に〜らめっこしましょ♪
あっぷっぷー♪」」

そして
変顔キメて
ぱっちり目を開けると

「ぶふっ」

吹き出した
いや
うん
吹き出したけど
笑ってないよ?
負けた訳じゃないよ?

「なっちゃん!
最初っから笑っちゃダメ!」

「あ、あれ…?
僕…笑ってしまってましたか?」

「めっちゃ!メッチャ!
素敵スマイルでしたわよ!!」

「…そうですか…
じゃあ、僕の負けですね…」

そんな…!
これで勝敗!?
なんか、なんか納得いかない!

「よし、もう一回やろう!
OK?」

「はい!今度こそ負けません!」

「じゃあ、いくよー」

ギュッと目を閉じて
さっきと違う
変顔を意識する

「「にらっめこしましょ♪
あっぷっぷー♪」」

そしてパチッと目を開けると
目の前には
変な顔…というか
複雑な表情のなっちゃんが居て

「わ、すごい顔ですねぇ」
「ぶっ…」

僕の顔に感心したらしく
なっちゃんが笑う
そんななっちゃんに僕も吹く

…またも開始一秒でリタイアか

笑ったんじゃないよ?
僕は笑ってないよ?

「もう一回!真剣にいこう!」

「はぁい」

嫌な予感しかしないけれど
手は繋いだままで
再び目を閉じる

「「に〜らめっこしましょ♪
あっぷっぷー♪」」

三度目の正直
にらめっこらしい
にらめっこになるのか!

開眼!

「ぶふっ…!!」
「わー、さっきより凄いです!」

駄目…
なんだか根本的にダメ
相性が良すぎて悪いみたい…

「ふ、ふふ、く…!」

目を開いた瞬間
向かいにある
笑顔になりそこねた不思議な真顔
直後
僕の顔を見て
純粋に笑ってくれる顔

どうやら
ツボにクリーンヒットしてしまったらしい
僕は大笑いしそうになるのを
お腹と口を押さえて
必死に耐えた

「わ、どうしたんですか?
どこか痛いんですか?大丈夫ですか?」

僕を心配して
覗きこんでくる
無垢で優しい真っ直ぐな瞳

ただ笑いを堪えているだけなのに
そんなに怯えないで

あ、だめ
また
笑いが込み上げてくる

「だ、だいじょ・・ぶ、ぶふっ…!
笑いが止まらなくなった、だ、だけ…」

涙目になって歪む視界
その先
ふと安心する
なっちゃんの笑顔が滲む

「ああ、良かったです!
…あ
ということは
にらめっこは僕の勝ちですよね?」

肩を竦め
微笑んだ小悪魔
だけど
それは許してあげない

「それとこれは別だよん!
にらめっこしましょ、あっぷーっぷー!
うりゃぁ!」

不意打ちで開始したにらめっこ
呆気にとられ
慌てるなっちゃんの
その身体に飛びついて

脇腹を思いっきりくすぐる

「ふ、あっ!
だめ、だめです…!
やめてくださ、ふ、ふふっ…」

「これで、おあいこだよ〜」

言いながらも
まだまだ
くすぐる指は止めてあげない

大声上げて笑わせたくて
思いっきり
泣くほど笑って転げる
そんななっちゃんを見たくて

ただ、脇腹をくすぐるだけに足らず
次第に
取っ組み合いみたいに
絡まり合って

「は、ははっ、ぁ!
くるし…苦しいです!ふふっ、ふ…」

息も絶え絶え
聞いた事もないような声で
笑う
なっちゃん

つられて僕も笑う

共鳴するみたいに
笑い声が
ブースの中に反響して

「はは、もっといっちゃうよ〜!」
「も、もうダメ…っふふ」

…そして僕達は
にらめっこという趣旨も忘れ
10分以上笑いまくり

その反動で

1時間
笑い疲れと酸欠で
動けなくなったのだった…


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その場で二人
崩れるように蹲り一時間ちょっと
次第に回復してきて
顔を上げると

ガタガタ
マイクが震えだした

…まさかだよね

「YOU達!
最高のスマ〜イルを
ベリ〜ベリーThank youなのデスよ!」

はい!
お約束いただきましたー!

マイクから飛び出してきた
シャイニーさんは
満面の笑顔で
僕達の肩を叩いてきた

「で?
結局、今日のコレは
いったい何の目的だったんですか?」

腹筋が痛い…
なんて思いながら
至極真っ当に訊ねれば

シャイニーさんの手には
はて
CDが一枚

「YOU達の最高の笑い声は
このディスクに
バッチリ納めてありマース!
これは次の収録に
ガンガン使っちゃうからネッ
今日はお疲れちゃんでしたー!
ハッハーハー!」

そして
また
マイクに吸い込まれて…

「…まぁ、お仕事だった…のかな?」

思惑は色々あるのだろうし
教えてもらえないのも今更なので
あんな
グダグダなにらめっこでも
僕達の為になるなら

…どうでも、いいか

「ふぅ、今日は良い意味で疲れたなー!
なっちゃん大丈夫?
全力でやっちゃってゴメンね」

ちょっとの罪悪感を抱きつつ
ブースの外に出よう、と手を差し出す

疲れを滲ませながら
なっちゃんは
嫌がるでもなく僕の手を取ってくれた

「あんなに声を上げて笑ったの
もしかしたら
初めてだったかもしれません…
少し、疲れました…けど
すごく、すごーく楽しかったです」

眩い笑みと共に
ギュッと
握りしめられる指先

通う温度が、心地よくて
慕ってくれている
そう分かる
この感触が嬉しくて

「ほうほう
と、いうことは
僕はなっちゃんのハジメテを
奪っちゃった訳だね
ちゃんと責任は取ってあげるよ〜」

ぐいっと引き寄せ、組んだ肩
驚いたなっちゃんは
それでも
次の瞬間には微笑んで
こつん、と頭を重ねてくれた

「じゃあ、今度一緒に
お茶しませんか?」

「いいねぇ〜」

笑顔が似合うのはお互い様
だから
勝負はドローでOK

不戦勝
不戦敗

これからも
きっと
僕達は笑いあう

勝負が終わったって
互いの笑顔
引き出していける

そんな気がするのは
気のせいじゃ、ないよね?



::+::+::+::+::+::+::+::+::

なにそれ可愛いじゃないの。


アニ店特急を聴くまでは
書かない方がいい…ような

思いつつ
浮かんだら書きますよね!仕方ない!

呼び方とか
不安が不安で不安なんですが←

あと、すっごい裏設定で
疲れて心からの笑顔が出せなくなった
なっちゃんのリハビリも兼ねた話
…だったりします
まったく触れてませんが(笑)

社長がこんな企画したのは
実はそういう意図が、というね!←



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