10/21の日記
00：33
『好き』の意味に四苦八苦
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うたプリ(翔那)
突然だが
俺
来栖 翔は
四ノ宮那月のことが好きだ
この気持ちは
那月に
そして周囲にも
まだバレていないという自信がある
というのも
好きだと気付いたのは
ほんの数日前のことだからだ
キッカケは不意なことだった
那月がヴァイオリンを止めた理由を…
クラシック界から姿を消して
アイドルを目指した理由を
知ったから
音楽の天才で
非のない完璧な存在
そうだと思っていた那月の
深い、絶望
誰にも理解されない孤独
誰とも共有できない不安
それは…
俺も少しだけ分かる
勿論
俺と那月とじゃ
状況が全然違うし
考え方も、同じじゃないと思う
けど
少しは
ほんの少しは、分かるから
今の今まで
こいつは
独り
もがいていたんだ、って
天才だけど
音楽という面においても
完璧じゃないんだって
知って
どうしようもなく、苦しくなって
支えてやりたくなって
自分でも不思議なくらい
素直に
ああ
俺は那月が好きだったんだ
そう、気付いた
気付いた…
けれど
恋として認めても
あまりに
俺は現状に慣れ過ぎていた
なにせ那月は
「可愛い」と同じ位
「大好き」が常套句な男だし
俺もそんな那月を
手の掛かる弟
(兄と呼ぶべきなのか)
のように見て接してきた
ぶっちゃけ
これ以上
接近のしようがない
「翔ちゃん！大好きです！」
「だぁぁ！抱きつくなー！！！」
このやり取りは
俺が好意を自覚しても
変わるものではなく
そんな俺達を見る
周囲の目も
今までと、なんら、変わらない
(でも、まぁ…
それでいいんだよな
男同士だし
下手すりゃ気持ち悪いで一蹴される話だ
せっかく同室で一年過ごせんだし
下手に告白なんてしないほうが
…きっと、互いの為になる)
不意に優しくしてやったり
ちょっとスキンシップしたり
そんな他愛ないことで
きっと
この想いは、満たすことが出来るから
それで、いい…
「…？
あれ、翔ちゃんどうしたの？
少し元気ない…？」
「なんでもねーよ」
ああ、しまった
モヤモヤが顔に出ていたらしい
那月は妙な所で敏いから
気をつけないとな
「体調悪い？
それとも、どこか痛い？」
「ばーか
なに泣きそうな顔してんだよ
俺は健康そのものだって」
にし、と笑うと
那月も応えるように笑う
でも
ほんの少し
寂しそうな気がした
なんだろう
好きだと自覚してから
那月の
笑顔の種類が
少しだけ見えるようになった
…のかもしれない
「なーつき」
「え？あ、わっ…！」
寂しい笑顔を
楽しい笑顔にしてやりたくて
俺は
コツンと
那月の額に額をぶつけた
「もう、翔ちゃん痛いよぉ」
ああ、いいなぁ
こういうことしても
那月は受け入れてくれる
ただの
じゃれあいだと思ってくれる
それから暫く
俺達は
格闘を繰り広げ
どちらからでもなく
大笑いして
ベッドに倒れ込んだ
「あー、あちー！」
動いて笑った相乗効果
埋もれたまま
なかなか
起き上がる気になれない
それは那月も同じなのか
転がったまま
ふい
俺の手を握ってきた
いつもみたいに
加減知らずじゃなくて
すごく控えめ
触れるだけの指先
「翔ちゃん」
視線を重ねた先
那月は
また
寂しそうにしていて
「…もし
もし、本当に辛くなったら
ちゃんと僕に、言ってね…？」
「那月？」
俺から何を感じ取っているのか
なにを
想っているのか
真剣な瞳が、痛い
だから、そっと
頭を撫でてやった
「心配すんなって」
俺の手が心地いいのか
那月は
猫みたいに
その感触を喜んで
さっきより
あたたかく微笑んだ
「僕は翔ちゃんのこと、大好きだよ」
キュッと
握りしめられた手
「…おう」
このタイミングで言ってくれるな
と
ほんの少し
お門違いに愚痴りながら
那月の手を握り返す
『好き』
那月の言う
好きに
きっと他意はない
親友としての
好き、だ
「大好きだよ…、翔ちゃん」
「…知ってるよ」
だから、俺は言わない
好きの二文字は
絶対
口にしない
(愛してる、那月)
好きと言われるたび
喜びと
哀しみが
せめぎ合う
でも、俺達は、親友だから
親友でしかない
筈だから
「好きです」
その意味を間違えたりしない
勘違いしたりしない
(それでいいんだよ…な？)
問い掛けられない問い
胸の奥にしまって
俺は笑った
今が
今こそが
幸せなんだと
そう、信じて…
::+::+::+::+::+::+::+::
頑張れ。
恋のヒューズ弾けちゃった翔ちゃんの話
お題を作った時の私は
もっとギャグで
とことんギャグで
赤面してる感じのギャグを
妄想していた筈…なんですが
気が付いたらこうなってましたよ
まぁ、よくあるある。
さっさとくっつけ(え
.
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