神尾受けV
□Trick but Treat
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「お菓子くれなきゃ悪戯するぞ!!」
練習を終えて部屋でまったりタイム。
同室の奴らにでかい声で言ってみたけど一切反応がない。
「お菓子くれなきゃ悪戯するぞ!」
また無視。
いい加減ひどくないか?
本読むのもトレーニングするのも携帯いじんのもいいけどさ、ちょっとくらい俺の話聞いてくれてたっていいじゃん。
「なあー、海堂ー、お菓子…」
「あぁうるせえな。ほらよ」
海堂がうんざりしながらダンベルを置き、ポケットから取り出した飴をくれる。
俺は礼を言って、今度は携帯をいじっている財前に歩み寄った。
「ざーいぜん!お菓子…」
「ない」
「嘘付け!俺以上に甘党のくせに!」
「自分にやる菓子はない」
「んだよケチ!じゃあしょうがねえな!悪戯…」
財前の携帯を奪い取ろうとしたら、手首をつかまれて凄い目で睨まれた。
「俺の相棒に手ぇ出したら許さへんで」
「す、すみません…」
「わかればええんや。菓子はさっき全部遠山にとられたっちゅうねん。あとは自分のしか残ってへん」
「くっそ!もういいぜ!日吉ー…」
「ほらよ、これしかない。勘弁しろ」
日吉に声をかけると、さっと濡れ煎を渡された。
んー、まあ、甘いものばっかだと飽きるだろうし、こういうのもいいな。
「サンキュー日吉!」
「あぁ…それはいいが、せめて英語で言ったらどうだ?頭悪そうだぞ」
「トリック…何とかだっけ?」
「Trick or Treatだ」
「ト、トリックオアトリート…」
英語は苦手だが、頭悪そうなんて言われたら心外だ。
頑張って舌を回してみる。
「…ま、いいんじゃないか。向日さんや芥川さんのところにでも行ってきたらどうだ。あの2人は去年もハロウィンは大騒ぎだったぞ」
「マジか!わかった!」
「逆に餌食にならないようにな」
「?おぉ!」
日吉に行われたとおり、俺は204号室に向かった。
ノックして扉を開けると、大きな袋を抱えた向日さんと芥川さん、丸井先輩がいた。
「おぉ赤也!俺たち今から出るとこだったんだけど、何か用か?」
「へっへー、トリックオアトリ…」
「あぁ?俺からお菓子とろうってのか?100年早ぇっつーんだよ」
丸井先輩の顔が普段からは想像もつかない表情に変わる。
いいよ。この人にはハナから期待してねえし。
「んじゃあ向日さん、芥川さん、トリック…」
「悪いが俺らもお菓子狙ってんだよ」
「あ、ちなみに氷帝からは既にお菓子もらい済みだCー。行っても無駄だよー」
「跡部からのお菓子は毎年すげえからなー♪」
くっそー!
いいよいいよ!俺だって氷帝の奴らにとられたくねえもん!
立海のお菓子は俺のもんだ!
柳さんなら絶対俺の為にお菓子用意してくれてるはず!
俺は丸井先輩たちと別れて202号室に向かった。