神尾受けV

素敵なプレゼント
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「跡部、もうすぐ着くのか?」

「ああ。たしかこの辺りのはずだ」


明日は俺の誕生日で、跡部は今日から泊まりがけで俺を祝ってくれるそうだ。

今から跡部がおすすめするホテルに連れていってくれるらしい。

いつも出かけるときは車なのに今日は電車と徒歩。

切符の買い方わからなくてびびってて可愛かったけど、終始2人きりで特別って感じだ。


「着いたぞ、ここだ」


電車を降りて数分、跡部が指差したのは、とても綺麗ででかいホテルだった。


「ここ!前テレビでやってた!すげー高いとこじゃん!」

「んなことねぇよ。俺様にしてみれば安いもんだ」

「で、でも跡部、俺を祝う金は全部自分で稼いでくれたって…」

「ああ。大変だったんだぜ?うちのシェフやメイドの手伝いしてよ。時給1万円でな」

「1万!?」


何考えてんだこのお坊ちゃんは。普通の人の10倍以上だぞ。


「へ、へぇ…やっぱお前、次元違うわ」

「アーン?何言ってんだ。さっさと中に入るぞ」

「う、うん」


俺は跡部に手を引かれてホテルの中に入る。

時給1万なんてありえねぇけど、やっぱりあの跡部が俺のために自分で稼いでくれたなんて、嬉しいな…


中に入ると、外観以上に綺麗ででかかった。

絨毯はふかふかだし、天井には大きなシャンデリア。装飾品も高そうなものばかり。

跡部がチェックインを済ませてくれて、部屋に案内される。

部屋の中も勿論綺麗で、しかも広い。


「うわー!すげー!広ぇー!」

「気に入ったみてぇだな?」

「あぁ!」


俺はベッドに思いっきりダイブした。ベッドもふかふかだ。

今夜はここで寝られるんだぁ。

なんか跡部と一緒にいると、金銭感覚がおかしくなりそうだぜ。

…ん?でも……


「跡部、ベッド1つしかないぜ?別々の部屋じゃねぇよな?」

「んなわけねぇだろ。よく見ろ、枕2つ置いてあんだろ?」

「え、でもベッド小さくねぇ?」

「わざと小さいのにしたんだよ。くっついて寝るの、好きだろ?」


跡部が俺の顎に手を当て、耳元で囁いた。

それだけで全身がぞくぞくする。


「ばっ、ばか離れろよ!つーか別に好きじゃねぇし!」

「そうかよ」


跡部はクスクスと笑う。

俺は悔しくて頬を膨らませた。


「夕食までまだ時間があるな。シアターでも見に行くか?」

「お、おう…」


俺は小さく頷いて、跡部に続いて部屋を出た。






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