神尾受けU
□駄目だよ、俺をフリーにしちゃ
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「六角って仲良いよな〜」
「あー、仲良いねー」
部活が終わり、皆でコートにトンボをかけていたとき。
俺の突然の呟きにも、深司は答えてくれた。
「俺さ、佐伯さんと付き合ってるじゃん?」
「うん。そろそろ1ヶ月だっけ?」
「うん…明日で1ヶ月なんだけど…まだ2回しか会ってないんだよな」
「電話は?」
「してる」
電話は毎日毎日、佐伯さんからかけてくれる。
メールも沢山くれるし、すごく嬉しい。
「してるけどさー…やっぱ、六角の皆仲良くて、羨ましいっていうか…」
「そんなの仕方ないでしょ。それは佐伯さんだって同じだし」
「たしかに、そうかもしれないけど…でもやっぱり、俺だけ見てほしいっていうか……」
「じゃあ神尾、佐伯さんに同じこと言われたらもう俺たちと仲良くしてくれないわけ?」
「そっ、そんなことあるわけないだろ!恋人と友達は別だし!」
自分で言ってて、つくづく俺って自分勝手だなって思った。
わかってるんだ、佐伯さんだって俺のことと同じくらい仲間が大切なんだ。
…だけど、いつも学校や部活で会ってるんだから、休日くらい六角の皆じゃなくて、俺との時間に使ってくれたっていいのに…
こんな我侭、佐伯さんには絶対言えないけど。
「ほらなー。束縛するとか最低だよなー」
「なっ、何だようるせぇな!」
「神尾だって、束縛されるのは嫌だろ?俺たちと仲良くするなって言われたら困るだろ?」
「そう、だけど…でも、やっぱり……」
俺が柄にもなくうじうじしていると、いつの間にか手が止まっていたらしく、桜井にサボるなと怒られてしまった。
「はぁ…」
「で?次会うのはいつ?」
「明日…」
「ならもっと嬉しそうにしてなよ。色々考えるより素直に喜んでくれた方が佐伯さんも嬉しいって」
「そう、だよな」
「都内じゃないんだし、なかなか会えないのも仕方ないだろ」
深司の言うことはもっともだ。
やっぱり色々考えすぎない方がいいのかもしれない。
「純粋に楽しんできなよ。あ、でも、中学のうちはキスまでだよ。それ以上は許さないからね」
「何の話だよ!余計なお世話だっつーの!」