四天宝寺U

Genius
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負けた連中が戻ってくるなんて、思ってもみぃへんかった。


謙也や小春や金ちゃんが戻って来たって聞いて、俺は嬉しくて飛び上がりそうやったんや。



だけど、皆の顔ぶれを見て、1番最初に飛び込んで来たのは、財前の顔だった。







「財前、お前、やっぱり来てくれたんやな」

「んー、まあ、その…成り行きで……」


練習が終わって、コートの裏に財前を呼びつけた。

嬉しさのあまり抱きつきたくなるのを懸命に抑える。


「俺に会いたくて来てくれたん?」

「アホちゃいますか?んなわけないでしょ」

「ですよねー…」


まあそんなことは言われんでもわかっとる。

大方、ユウジにつれてこられたんやろ。

でも、こうして財前に会えたのは事実なわけで。

何ヶ月も離れる覚悟をしていたから、素直に嬉しい。


「どうせ来るんやったら何ですぐ合宿所の方に来んかったん?」

「いや、なんか…歩いてたら遭遇したっちゅーか…俺も、部長おるかと思ったのにおらんし、びっくりしましたわ」

「まあ、俺もあんな山ん中で特訓しとったなんてびっくりや」


財前の顔や体を見る。

傷だらけや…

心なしか、たくましくなったような気もする。


「でも、部長があっちやなくてよかったっす」

「何で?」

「部長の綺麗な体に傷がつかんくて」

「えっ」


財前が意地の悪い顔で俺を見上げてくる。

俺は、この顔に弱い。


「な、何アホなこと言っとるん。年上をからかうもんやないで」

「からかってんかないっすよ。本心っすわ」


そう言って、財前は俺の肩に手を添えた。

精一杯背伸びをして、顔を近づけてくる。


「唇やってこんなに綺麗やし…」


すぐに唇を奪われた。

こんな外で、暗くなってきとるけど、誰が来るかわからんのに。

でも、抵抗することができない。

大人しくしていると、唇を割って舌が入ってきた。

俺はそれを受け入れる。


「ん…ッ、は…んん、」


久しぶりや。本当に久しぶりのキス。

俺らは夢中になって口づけをかわした。



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