四天宝寺U
□サプライズ!
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「ハッピーバースデー白石ー!!」
授業を終えて、放課後部室に入ると、皆がそう言ってクラッカーを鳴らした。
あの財前も一緒になって鳴らしている。
「え…な、何やこれ…お前ら……」
「はっはー、ビビッたやろ白石!成功やな皆!」
謙也が前に出て俺の胸を小突く。
俺はようやく落ち着いてきて、自然に笑いがこみ上げてくる。
「はは、お前ら最高やわ。ほんまおおきに」
「まだ礼言うんは早いで!お前を笑かしたろ思て、皆で色々考えてきたんやからな!」
「ほんまか?楽しみやわ〜」
それから謙也と財前のグッダグダの漫才見せられて、かと思えば小春とユウジのハイクオリティーな漫才見せられて。
師範のシュールなギャグとか千歳の漫談とか、金ちゃんに至ってはただのタコヤキ早食いやったけど、楽しかった。
それからオサムちゃんにコケシ(スペシャルバースデーヴァージョン)ももらった。
皆いつも以上にアホやったけど、ほんまに楽しかった。
「っはー、部室の掃除大変やったなー」
「お前らが暴れるからやでー」
パーティーがお開きになった頃、既に外は真っ暗だった。
隣にいる謙也は疲れた顔をしているが、笑顔で俺も嬉しくなった。
「お前らメールも電話もよこさんと薄情なヤツや思っとったら、まさかこんなパーティー用意してくれとったとはなぁ」
「はは、びっくりしたやろ?金ちゃんの誕生日終わってから、次はお前の番やて計画立てとったんやで」
「ただお前、あの漫才はないやろ。グッダグダやんけ。お前が毒舌吐かれて終わりて」
「うっさいわアホ!」
あぁ、ほんまにアホ。けどめっちゃ楽しい。
俺、ここに来てよかったなぁ。
「それにしても白石、ほんまによかったんか?誕生日当日に俺の家泊まるやなんて」
「ええて。家ではオトンも休みの日に家族そろってやるんやから」
「さよかー。ほんなら、ゆっくりしてってな。ま、明日学校やし、言うほどのんびりできんけど」
そうこうしているうちに、謙也の家に着いた。
中に入って、階段を上がっていく。
「オカンに見つかるとうっさいからなー。お前がイケメンすぎるからやで。まったく、いい年こいてイケメンに目ぇないんやから」
ぶつぶつ言う謙也について廊下を進み、謙也の部屋まで来た。
謙也がドアを開けてくれて、俺はつづいて中に入る。