四天宝寺U

俺だけを見て
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「お久しぶりです、忍足さん」

「久しぶりやなぁ財前!めっさ会いたかったわー!」


玄関で俺を迎えるやいなや、忍足さんは思いっきり抱きついてきた。


「あぁもう離れてください。苦しいっすわ」


そうやって悪態をつくけど、俺は抵抗しなかった。

やっぱり久しぶりに恋人に会えるんは嬉しいから。


「ほら、中入り」

「はい」


忍足さんの家の中に入り、キョロキョロと見回す。

最後に来たのは3ヶ月前やけど、そう変わってへんみたいや。


案内された忍足さんの部屋も前に来たときと変わってない。

小遣いはたいて東京まで来てよかった、って思う。

先月は忍足さんが大阪まで来てくれたし、俺達は遠距離でも上手くいってると思う。

俺は勿論やけど、忍足さんも浮気なんかしてへん、はず。

メールは毎日するし、電話も2日に1回は絶対する。


「飲みモンでも持ってくるわ。その辺座って待っとき」

「はい」


ベッドに腰掛けて、またキョロキョロと周りを見る。

何か久しぶりやし、緊張して落ち着かへんなぁ。

ていうか、3ヶ月ぶりに見る忍足さん、かっこよかったなぁぁ。


なんてことを考えて視線を巡らせていると、本棚の下に雑誌が落ちているのが見えた。

棚に戻そうと、雑誌を拾い上げる。

とりあえず空いとるとこに雑誌を入れると、隣にあった辞書が落ちてきてもうた。

しまおうと、辞書を拾う。


…ん?辞書にしては、やけに軽いな。


そう思ってカバーから辞書を取り出した。




それがアカンかったんや。



あれ、2冊もあるやんって表紙を見た。






俺の嫌な予感は的中。


思いっきりエロ本やった。






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