四天宝寺U

妖しい汁にご用心
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「ち〜と〜せ〜?」

「はい……」


「このカップ麺の山は何や!?」


「すんまっせん……」



俺の怒号に、千歳は素直に頭を下げる。

今日は多忙な俺にしては珍しく暇だったから久々に千歳が住んどる寮に遊びに来た。

ま、こんなことになっとるやろと思って、夕飯の食材も一緒に持って。

遊びに来たっちゅーよりも、ちゃんと人間らしい生活しとるか偵察に、ってとこやな。


で、案の定台所の棚を開けてみると、山のようにカップ麺があった。

隅の方にはほとんど減っていない米。

折角ミユキちゃんが送ってくれとんのに、妹不幸な兄貴やな。


「最後に飯炊いたのいつや?」

「えっと……10日くらい前…だった気がするばい」

「お前ええ加減にせぇよ……今日は俺が飯作ったるから大人しゅうしとき!」

「恩にきるたい。白石は最高の嫁さんばいね」


ぎゅーっと俺に抱きついて、千歳はリビングのソファーに腰を下ろした。

テレビをつけて、ジブリ映画のDVDを流し始める。


そうそう、そうやってジブリでも見とればええんや。


じゃ、早速料理始めよか。

俺は持ってきた食材を漁って、料理にとりかかった。









「千歳、できたで!」

「おぉ!かばしか匂いばい!」


俺が声をかけると千歳はすぐに駆け寄ってきて、食卓に並べるのを手伝ってくれた。

ま、我ながらエクスタシーな出来映えや!


「ほな、いただきます!」

「いただきます」


千歳はメインのハンバーグに箸をつけて、頬張った。


「んん!んまか〜!」

「そらよかったわ」


千歳はほんまに美味しそうに食べてくれて、こっちも嬉しくなる。



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