四天宝寺U

熱があるので
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「財前光様ー」


名前を呼ばれて、フラフラとソファーから立ち上がる。

途中で壁に頭ぶつけて恥ずかしかったけど、正直意識が朦朧としてそれどころじゃない。


病院に来るときも危なかった。

1回信号待ちのときに額でクラクションを押してもうた。


昨夜から少し調子は悪かったけど、まさかこれほどになるとは。

謙也さんを送り出して、掃除でもしようかと思ったら視界が回った。

あぁ、コレはヤバいと直感が告げる。


で、今は謙也さんの病院。



診察室に入ると、白衣に身を包んだ謙也さんがおった。


「光、お前大丈夫か?びっくりしたで」

「大丈夫やないからわざわざ謙也さんの病院来とるんすよ」

「まぁ、せやなぁ。熱はあったん?」

「38.2℃」

「お前平熱低いもんなぁ。そら大変や」


謙也さんは俺の額に手を当ててそう言った。


「他に何か症状出とる?」

「頭痛いっす…フラフラするし」

「う〜ん…風邪や思うけどな、とりあえず診察してみるわ」

「ん……」


謙也さんが聴診器を手にしたから、俺は自ら上着を捲った。

謙也さんの手が止まる。


「…謙也さん?」

「お前、エロいわ」

「は?」

「乳首丸出しにして誘っとるん?」


後ろにいる看護師さんに聞こえんよう、小声で言う謙也さん。

俺は少し恥ずかしくなって、服を戻す。


「謙也さん…患者が服捲るたびにそないなこと考えてはるんですか…?」

「なっ、なわけないやろ!光だからや!」

「…そんならええねん」



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