氷帝U

2人の立ち位置
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「なぁ忍足…俺どうしたらいいかな…」

「ん?何が?」

「跡部はどう思う?」

「だから、何がだよ?」


いつもなら部活をやってる時間だが、今日はオフ。

俺と忍足と跡部以外、教室には誰も残っていない。

長太郎には悪いけど、用事があると言って先に帰ってもらった。

だって、こんなこと長太郎に聞かれるわけにはいかないから。


「…俺、さ、長太郎と付き合って3ヶ月くらい経つんだけど…」

「あぁ、知ってるで」

「今更何だよ?」


2人の間で小さくなってしまう俺。

恥ずかしさから、なかなか次の言葉が口から出ない。


「…この前、部活の後ストテニ行って自主練しててさ」


跡部と忍足が小さく頷く。


「着替えてるときに、き、キス、されて…」


俺は一杯一杯だっていうのに、「ふぅん」と相槌をつくだけの2人。

1人だけ赤くなって、余計に恥ずかしい。


「それで?」

「う…し、舌、入れられて、それで…こ、腰とか、撫でられて…」


そこまで言ったとき、心なしか忍足がにやりと笑った気がしたが、気にしないことにした。


「俺、びっくりして押し返しちまったんだけどさ…その、…」

「何だよ?大事なのはその後だろ?」

「せやで。相談乗ってほしいなら、しっかり話せや宍戸」

「う、ん…」


2人の言うことはもっともだ。

俺はかろうじて跡部たちに聞こえるような声で言う。


「そしたら、長太郎の奴、『続きはまた今度しましょうね』って、言うから…」

「まぁ、妥当だな」

「そこで襲われんくてよかったな」


何でこの2人は冷静でいられるんだ。

俺は恥ずかしくて死にそうだっていうのに。


「こ、これってもしかして…もしかしなくても、俺、誘われてるのか…?」



「あぁ、そりゃそうだろ」

「間違いあらへんな」



何だってぇぇー!?




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