四天宝寺
□愛をください
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「うわあぁあー!」
ヤバい!ヤバいヤバいヤバい!
時刻は深夜12時。
家族が寝とるにも関わらず、俺は自分の机の前で大絶叫した。
どっ、どっ、どないしよう!
明日のプレゼン準備で使う写真コピッとかなアカンかったのに!
すっかり忘れとった!
早よコンビニ行かな!
俺はやりかけだった課題を机の上に置いて、急いで階段を駆け下りた。
自転車に飛び乗って、必死で漕いでいく。
補導されんように気ぃつけな!
よっしゃ!
わずか10分でミッション完了や!
コピーした紙をチャリのかごに入れて、急いで家に戻る。
「…あれ……?」
家の門の前に誰かおる。
塀にもたれてしゃがみ込んで、携帯の画面を見つめとる。
暗くてよぉ見えへんけど、具合でも悪いんやろか。
「おーいアンタ、どないしたん?」
近づいていき、そいつの顔が自転車のライトに照らされる。
「えっ…」
「あ………」
「財前………」
俺の門の前で膝を抱えていたのは、制服を着た財前だった。