氷帝
□翌朝
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「あれ?跡部ー?」
「あ?」
跡部が名前を呼ばれて振り返る。
「何だジローか。相変わらず寝坊か」
「うん、ごめんね〜」
いつものように朝練に間に合わず、あくびをしながら登校するジロー。
「跡部は〜?何で朝練行ってないの〜?」
まだ寝ぼけたように間延びした声で言う。
「あ、あぁ……ちょっとな…」
「ふぅん…珍しいね〜。じゃあ教室まで一緒に行こ〜♪」
「あぁ」
跡部が樺地も連れずに1人で朝練に遅刻なんて、本当に珍しいことだった。
というか、初めてだ。
「(くっそ…俺様としたことが…)」
「あ!景ちゃん!」
その声に、跡部の肩が跳ね上がる。
声の主は朝練を終えて教室へ向かって行く忍足。
隣には向日の姿がある。
「おぉジロー、はよ〜」
「おはよ〜向日」
「もう亮教室行ったぜ。お前も早く行けよ」
向日に言われ、宍戸のいる教室へ向かうジロー。
「じゃあな侑士。俺も教室行くぜ」
「おぉ」
向日も忍足に手を振って自分の教室へ入っていく。
「景ちゃん、おはようさん」
「…あぁ」
「体大丈夫か?」
「…あぁ」
「ほんまに?」
「大丈夫だ」
「ごめんな景ちゃん。俺の所為で」
「ったく、本当だぜまったく…」
跡部が朝練を休んだ原因は忍足にあった。