氷帝V

愛しの若様
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やっべー。すっかり遅くなっちまった。

部活がないから日吉と帰る約束してたのに、先生につかまっちまった。

俺は急いで日吉が待つ校門へと走る。

グラウンドに出ると、日吉が塀にもたれて待っているのが見えた。


「おーい!ひよ…」

「ひっよC−!!」


俺が声をかけるよりも先に、ジローが日吉の胸に飛び込んだ。

ちょっ…何やってんだアイツ!


「芥川さん!?」

「ひよC−。ちゅー」

「っ!?」



!!??



ここからでもはっきり見える。

ジローの奴、日吉にキスしやがった!

しかも唇に!


「なっ、何するんですか!」

「べっつにー。だって日吉可愛いんだもーん♪」

「やめてください!」


俺はムカついて2人に駆け寄る。

俺の姿を捉えた日吉は、罰の悪そうな顔をした。


「おいジロー!何やってんだ!」

「見つかっちゃったー。じゃあねー2人とも!」

「あぁ!待ちやがれ!」


俺の制止も聞かず、さっさと手を振って帰ってしまうジロー。

…この怒りはどこで発散させりゃいいんだよ。


「…あの、向日さん」

「あ?」


日吉がおずおずと声をかけてくる。

俺は不機嫌丸出しで返事をする。


「い、今のは…」

「さっさと俺ん家行くぞ」

「え、あの…」

「いいからついてこいよ」


そう言って歩き出すと、日吉も何も言わずに俺についてきた。

あーあ、こんなにイラつくなんて、宍戸の言葉を借りればまさに激ダサだぜ。

でも俺の怒りは収まるはずもなくて、ろくに会話もしないまま俺の家に着いた。




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