四天宝寺U

キングとバイブル
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「はぁ〜、ほんまに跡部クンのエスコートは無駄がないわ〜」

「ふん、当たり前だろう?」


東京駅をブラブラして、ごっつ旨いランチをご馳走してもらって。

今は道の端のベンチで休憩中。

ほんまに楽しい。帰りたない。


「ありがとうな、跡部クン」

「礼にはおよばねえよ」

「そないなこと言わんと。せや、ジュースでも奢らせてえな」

「は?おい、いいって」


さっき通ったとこに自動販売機があったはずや。

俺に続いて立ち上がろうとする跡部クンを手で制する。


「跡部様の口に合うかわからんけど、缶ジュースくらい奢らせてえな。ランチも奢ってもろたし、だいたい、跡部クン小銭持ってへんやろ」

「だけど、俺様が奢ってもらうなんて、」

「ええから。ここでちょお待っといてな」


俺はそう言って来た道を引き返す。

跡部クン、奢ることはあっても奢られることなんて滅多にあらへんのやろな。

俺だけ、特別や。きっと。


自販機は見つけたけど、やっぱり少し悩む。

跡部クン、何がええんやろ…

紅茶が好きなんは知っとるけど、たっかい紅茶飲んどる奴に缶の紅茶やなんてなぁ…

普段飲まんやろし、ここは無難にオレンジジュースかコーラか、その辺でええやろ。

小銭入れから金を取り出そうとしたときやった。

後ろから黄色い声が聞こえてくる。


「あのー、お1人ですかぁー?」

「え?いや…」


振り向くと、同い年か、少し上くらいの女の人が3人。

うわ…またかぁ。俺逆ナン苦手やのになぁ…


「よかったら、一緒に遊びませんかー?」

「や、連れがおるから…」

「関西弁だー!かっこいいー!」


満面の笑みで財布を持っていない方の腕を引かれる。

うぅ…こない好意向けられると、キツい言い方できへんしなぁ…


「ほ、ほんまに堪忍してえな…」


ほんまに困った。

跡部クン待たせてるし、早よ戻らんと…


「おい」



低い声と共に、後ろから肩を強く引かれた。

後ろを向くと、機嫌の悪そうな跡部クンの顔。



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