神尾受けV
□素敵なプレゼント
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シアタールームに連れられて、映画を見た。
こんな高級ホテルだから、静かでロマンチックな感じのラブストーリーとかだと思ったら、俺の好きなアクション映画だった。
跡部が俺の好みに合わせて上映させてくれたらしいけど、他のお客さんもいるだろうに、どんな権限もってんだ。
「映画おもしろかったなー!」
「そうだな。たまにはアクションも悪くない」
そう言う跡部も、クライマックスでは涙ぐんでたの知ってんだぞ。
まあつっこまないでおいてやるけど。
「今からメシか?」
「ああ。最上階にレストランがあるからな。そこで食べよう」
エレベーターに乗り、最上階へ向かう。
「神尾」
「ん?」
呼ばれたから振り向くと、唇にそっとキスをされた。
そして小さく微笑むと、跡部は何事もなかったかのように前を向く。
「なっ、何するんだよいきなり!」
「別に。密室だからな、お前に触りたくなった」
「密室っつったって、ここエレベーター…」
俺の言葉の途中で、最上階に着いた。
跡部は黙って歩を進める。
「ちょっ、待てよう!」
俺は慌てて跡部についていく。
顔の火照りを抑えながら。
レストランはすごく見晴らしがよくて、夜景がとても綺麗だった。
料理もすっごく美味しくて、聞いたこともないような名前のものばかり。
跡部と談笑しながら食事をして、満足して部屋に戻る。
「風呂先入っていいぞ」
「何言ってんだよ。一緒に入るに決まってんだろうが」
「は、はぁ!?嫌だよぅ」
まさか一緒に入るなんて思ってもいなくて、俺は声が裏返ってしまう。
「何でだよ?」
「だって、一緒に入るといっつも跡部変なことするじゃんかぁ…」
「大丈夫だ。今日は何もしねぇよ」
「そう言って本当にしなかったことねぇもん」
「ったく…信用されてねぇのな」
信用なんかできるもんか。そうやっていつも騙されるんだから。
すると跡部が近づいてきて、頭をぽんぽんと叩かれた。
そしてまた耳元で囁かれる。
「今日はベッドで可愛がってやるからよ。風呂の中では安心しな」
「ーッ!」
そう言って、俺の分のバスローブも持って風呂に行ってしまう跡部。
俺も仕方なく後を追った。
まったく、コイツにはかなわない。