四天宝寺U

医者の不養生
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「しゃあないっすね…ほな車出しますから、病院行きましょ?」

「ええ…お前がそばにおったら、治るから…」

「んなわけないでしょ。自分とこ行くん気が引けるんやったら、他んとこでも…」

「ええから…お前が、看病してや…」


うぅ、アカン。なんかごっつ寂しい。

ほんまに死ぬかも、俺……


「…謙也さん、何でそない甘えてくるん……?」

「しゃあないやろ…俺だって辛いんやし…って、え?」


頬に冷たい水が落ちてきた。

…財前が、泣いとる。


「え?え?ちょちょ、財前!?」

「何でそない甘えてくるんすか…死期が近いからですか?謙也さんほんまに死んでまうんですか…?」

「ちょ、頼むから泣かんで!」


俺はだるいけど頑張って腕を上げ、財前の涙を拭ってやる。

髪を撫でると、財前は更に泣き出した。

ぁあー、もうどないしたらええの?


「大丈夫やで!謙也さん元気やで!」

「嘘や!あんなに弱気やったのに…」

「ちゃ、ちゃうちゃう!ちょっと調子乗りすぎてん!」


ほんまは結構辛いんやけど、調子乗った、ってことにしておこう。

そっちのが財前も安心するやろ。


「ほ、ほんまですか…?」

「ほんまや、ほんま」

「謙也さん死なへん?」

「死なへんよー」


よしよしと何度も頭を撫でてやる。

財前は少し落ち着いたみたいで、ごしごしと目元を擦った。


「お、俺、ほんまに心配したんですから…謙也さんいきなり倒れるし、このまま起きんかったらどないしようって…」

「財前…」

「うぅ、具合悪かったん、気づかんくてごめんなさい…」


あ、アカン。心配させて悪かったっちゅーことよりも、嬉しいって思ってまった。

俺最低やなー…


「財前の所為ちゃうし。ごめんな。心配してくれてありがとう」

「ふぅ、うぅー…謙也さぁん…」


さっきまで素っ気なかったんは、きっと強がってたんやな。

ほんま悪いことしてもうたわ。



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