神尾受けV
□重い想い
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「…何そのひどい顔」
「うっせー、ほっとけよ」
朝1番に深司に言われた言葉。
俺は口をへの字にして答えた。
「目、いつも以上に腫れぼったいよ。何?また夜な夜な大泣きしてたわけ?」
「う、うるせーなぁ…昨日は電話できたから、まだマシだったっつーの」
せっかく今日は朝練がないっていうのに、何で深司に捕まらなきゃならないんだ。
泣きすぎて頭痛ぇんだから、横でぼそぼそ言わないでくれ。
「電話で泣いたりしてないよね?」
「昨日は泣いてねーよ」
「この間は泣いたって言ってたじゃん」
「この前だろ!昨日は泣いてねーの!」
ったく、過去のことをごちゃごちゃとうるせーヤツだな!
しょうがねぇだろ寂しいんだから!
「…別に勝手だけどさ、いい加減神尾重いと思うよ」
「え?」
深司が机の横に立って話を聞いていた俺を、前の席に座るように促す。
俺は素直にそれに従い、体ごと深司の方を向いて座った。
「だからさ、いい加減にしないと、跡部さんに引かれるよ?」
「どういうことだよ…?跡部は別に迷惑じゃないって言って……」
「口ではどうとでも言えるし。神尾のこと気遣ってるだけでしょ。俺ならそんな重い恋人、御免だね。正直ウザいし」
っ……!!!!
「お、お前に何がわかるんだよ!跡部はそんな…」
「毎回毎回電話口で泣かれたら鬱陶しいだろ?疲れるだろ?そんなこともわかんないのかよ。だからバカミオって言われるんだよ…」
「……………」
…たしかに、深司の言う通りかもしれない。
あり得ないことだけど、もし万が一跡部が電話のたびに泣いてきたら…
しかも、それが週に3,4回もあるとしたら……
…あぁ、ちょっと鬱陶しいかも。
最初は可愛いな、とか、守ってやりたいな、とか思うかもだけど…
毎回は、ウザいかもしれない……
「…たしかに、そうだな……」
「だろ?しかも跡部さん、神尾の前では平気そうな顔してるから、実は凄くストレス溜まってたりするかも」
「…………」
な、なんか怖くなってきた……
「お、俺、どうしたらいいかな?」
「なるべく電話の回数を控える。相手の前では泣かない。いちいち言葉を求めない」
「は、はい…」
「その代わり、会ったときには目一杯甘えてよし」
「わ、わかったぜ!」
跡部に嫌われたくねぇしな!
俺、頑張って我慢するぜ!