氷帝U

2人の立ち位置
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「ちょ、長太郎っ…」

「駄目、ですか?」


目の前に迫る長太郎の顔は、今までに見たことがないくらい真剣で、有無を言わせない迫力があった。

ドキドキと胸が高鳴って、耐えられそうにない。


「まっ、俺が、」

「はい?」

「俺が、下、なのか?」


俺がそう言うと、長太郎は目を丸くしてぽかんと俺を見た。

そして穏やかに笑い、勿論です、と言った。


「それとも宍戸さん、俺のこと抱きたいですか?」

「俺、は、お前なら、どっちでも…」

「嬉しいこと言ってくれますね…でも、俺は下は嫌なんで」


キラキラした笑顔でそんなこと言われても困る。


「あ、いや…下が嫌なんじゃなくて、宍戸さんを、抱きたいんです」

「っ……」

「こんなに可愛いのに、俺が下だなんてありえないッス」

「も、もう…勝手にしろよ」


そういうと長太郎は微笑んで、ありがとうございます、と言った。

そしてもう1度キスをされる。

また舌が入ってきて、俺も必死で応える。

長太郎は俺が初めてだって言ってけど、キスが巧くて、俺は完璧に主導権を握られてしまう。

俺も初めてだけど、それでも巧いってわかるくらい、気持ちいい。


「んっ…んん、ふ…」


もう体に力が入らなくて、ベッドに体を預けた。

唇が離されるて、俺は息を整える。


「宍戸さん、大丈夫ですか?」

「だい、じょうぶ、だから……はぁ、」

「そうですか。辛かったらいつでも言ってくださいね。宍戸さんの嫌がることはしませんから」


そう言って優しく髪を撫でる長太郎。

あぁ、こんなに優しくされるなら、抱かれるのも悪くないかもしれない。


「じゃ、続き、しますね?」


俺が頷くと、長太郎は俺のTシャツの下に手を入れて、脇腹あたりを撫でてきた。

ただそれだけなのに、背中がゾクゾクしてくる。

その手は徐々に上へ上がってきて、指先が胸の突起を掠めた。


「あぁッ……っ!!?」


自分の声が信じられなくて、咄嗟に手のひらで口元を覆った。

何だ今の、勝手に出たっ…!


「宍戸さん、可愛い…これ、気持ちよかったんですか?」

「や、やめッ…あ、あぁ、んんッ…」


胸を弄られて、出したくもない声が出てしまう。

必死で声を押し殺そうとするけど、うまくいかない。


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