氷帝U
□2人の立ち位置
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「えへへ、宍戸さんの家に泊まるの、久しぶりですねっ」
「そうだな。このところ部活も忙しかったし」
俺と長太郎は学校帰りにそのまま俺の家に向かっている。
にこにこと笑う長太郎を見ると、俺も穏やかな気分になってくる。
…でも、コイツには下心があるんだろうか……
この前しっかり誘われたし、どうなんだろうな…
「宍戸さん?」
「えっ?」
「どうかしましたか?ぼーっとして…」
「い、いやっ!」
長太郎が俺の顔を覗き込んできて、声が裏返ってしまった。
「な、なんでもない…」
「そうですか。ならよかったです」
いつものように穏やかに笑う長太郎。
全然普段と変わらないな、こいつ…
俺も何とか平常心を装って、他愛もない会話を続ける。
俺の家に着いて、中に入ると更に緊張が高まる。
部屋に入っても、いつもならベッドに腰掛けるけど、今日は何だか気が引けて床に座る。
…でも、もしかしたら今日は何もないかも。
長太郎は普通だし、家族もいるし……
嬉しいような少し残念なような気がするけど、そう考えたらちょっとだけ緊張が解れた。
まあ、そんな考えは甘かったんだけどな。
長太郎も家族と一緒に夕飯を食べて、先に風呂に入ってもらって、次に俺が風呂に入って。
風呂から出て、ベッドに腰掛けている長太郎の隣に座る。
なんだか特に話題もなくて黙っていると、長太郎に腰を引き寄せられた。
驚いて顔を上げるとそのままキスをされた。
前みたいに舌を入れられて、俺は何も考えられなくなってしまって。
気づいたら、そのままベッドに押し倒されていた。