四天宝寺

愛をください
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その後、さすがに家の風呂には入れんくて、財前の体を綺麗に拭いてやった。

いつも自分でやるって嫌がるけど、今日は俺に任せてくれた。



「もう朝練まで3時間もないけど…帰ろか、財前。送ってくで」


家出(未遂)したことなんか知られたないやろうと思って、今のうちに帰ることを提案した。


「ん…ええ。せっかく制服着てきたんやし、謙也さんと登校したい」

「そやかて…」

「ちゃんとオカンには謙也さんとこ泊まったってメール入れとくから。ちょっとだけやけど一緒に寝よ」

「財前……」


あぁ、何ていじらしいんやコイツは。


「俺が一生そばにおって守ったる」

「何言うてるんですか急に…」

「別に。これからも頼ってな」


隣に寝転がっている財前をぎゅっと抱きしめる。

財前も体を寄せてきて、滅多に見せん穏やかな顔で笑った。


「アホ。今日だけですわ」

「何や、可愛ないなぁ」


結構っすわ、と言って俺に背を向ける財前。

それが可愛くて、俺は思わずクスリと笑ってしもた。

後ろからもう1回抱きついて、耳元に唇を寄せる。


「ウソ。めっちゃ可愛いで。世界で1番好きや」


すると財前はまた俺の方を向いてくれて、唇にキスをされた。


「え、ちょ……///」

「ありがとう謙也さん。謙也さんのおかげで立ち直れそうっすわ」

「さ、さよか…そらよかったわ。ほな…もう寝よか」

「はい」



財前はそう言って静かに目を閉じた。


「お前は、何も不安になることなんてあらへんよ。俺がいつまでも愛したるからな」



柔らかい髪をそっと撫でて、俺もゆっくりと目を閉じた。




END

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