四天宝寺

愛をください
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「財前!?どないしたんお前!?」

「謙也さんっ…」


自転車から降りると、チャリを止める暇もなく財前が胸に飛び込んできた。


「ちょ…」

「急にすんません。電話したけど出ぇへんくて…
家、来たら、チャリなくて、おらんと思ったから、待ってました」


あ、そうか。急いどったから携帯机の上に置きっぱや…


「す、すまんな。何があったんか知らんけど、とりあえず入り」


背中をぽんぽんと叩いてやると、財前はこくんと頷いて俺から離れた。

胸元が少し湿っとる気がしたけど、俺は何も言わずに財前の頭を撫でた。

チャリを止めて家に入り、階段を上がる。

財前は、俯いたまま黙って俺の後ろをついてきた。


「ほら、入り」


エアコンも電気もつけっぱなしにしだった部屋の扉を開けて、財前を中に入れてやる。

続いて俺も中に入り、コピーを無造作に机の上に置いた。


「財前、急にどないしたん?何かあったんか?」

「謙也さん、俺のこと好き?」

「へっ?///」


財前は俺の服の裾をぎゅっと握って、上目遣いでそう言った。

顔は真っ赤で、綺麗な目には今にも零れそうなほど涙が溜まっていた。


「い、いきなり何やねん…」

「ええから答えて。謙也さんは、俺のこと好きなん?」


ほんまに、どないしたんやろ財前…

いつもと様子が違いすぎる。

これはただ事じゃなさそうやと思って、俺は財前をベッドに座らせた。


「好きやで。今更何言うてんねん」


俺も隣に座って、そっと抱きしめてやる。

動揺しとるみたいやから、ゆっくりと背中をさすりながら。


「謙也さんっ…」


そう呟くと、財前の目からぼろぼろと涙が流れた。

俺は何て言ったらええのかわからず、ただ背中をさすってやることしかできんかった。




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