四天宝寺
□二面性
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「ん、好きやで」
「知ってます」
言いつつも、赤い顔を見られんように肩にうずめる。
「ほんま可愛いなあ」
ゆっくりと顔を上げれば先輩の顔はすぐ目の前で。
どちらともなく唇を重ねた。
触れるだけのキスから、徐々に深くなっていく。
「んッ、んん///」
「ん……は…、ひかる」
唇が離されて、低い声で名前を呼ばれる。
「ぁ…ユウジ先輩……」
しばらく見つめ合って、再び唇を触れさせた。
何度もキスを重ねて、体中が火照る。
「先輩、俺らも帰りましょ」
「何で?」
「だ、だって……」
もう我慢できへん。
早よ先輩とシたい。
「ん?何でなん?」
俺が黙りこくっとる間、先輩は俺の頬や額に何度もキスを落とした。
それが俺を煽っとるって、気づかへんのやろか。
「せんぱぁい……///」
もうアカン、ほんまに我慢できへんっ///
口でなんて言えへんから、ぎゅっと力いっぱい抱きついた。
「ごめんな財前、わかっとるよ」
「…先輩のドアホ」
「はいはい。ほな、急いで帰ろか」
子供をあやすような口調で言い、俺の頭を撫でる。
「嫌や」
「え?」
「ここでええやん先輩、アカンのん?」
家に帰るまで待つやなんて、拷問やん。
できるわけないやろ。
「随分甘えんぼやなぁ」
「うっさい…先輩が悪いんや。小春先輩とベタベタしよって。ほんまキモいっすわ」
「ごめんなぁ」
笑いながらそう言って、そっと触れるだけのキスをした。
始まりを告げるように。