四天宝寺

二面性
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「ん、好きやで」

「知ってます」


言いつつも、赤い顔を見られんように肩にうずめる。


「ほんま可愛いなあ」


ゆっくりと顔を上げれば先輩の顔はすぐ目の前で。

どちらともなく唇を重ねた。

触れるだけのキスから、徐々に深くなっていく。


「んッ、んん///」

「ん……は…、ひかる」


唇が離されて、低い声で名前を呼ばれる。


「ぁ…ユウジ先輩……」


しばらく見つめ合って、再び唇を触れさせた。

何度もキスを重ねて、体中が火照る。


「先輩、俺らも帰りましょ」

「何で?」

「だ、だって……」


もう我慢できへん。

早よ先輩とシたい。


「ん?何でなん?」


俺が黙りこくっとる間、先輩は俺の頬や額に何度もキスを落とした。

それが俺を煽っとるって、気づかへんのやろか。


「せんぱぁい……///」


もうアカン、ほんまに我慢できへんっ///

口でなんて言えへんから、ぎゅっと力いっぱい抱きついた。


「ごめんな財前、わかっとるよ」

「…先輩のドアホ」

「はいはい。ほな、急いで帰ろか」


子供をあやすような口調で言い、俺の頭を撫でる。


「嫌や」

「え?」

「ここでええやん先輩、アカンのん?」


家に帰るまで待つやなんて、拷問やん。

できるわけないやろ。


「随分甘えんぼやなぁ」

「うっさい…先輩が悪いんや。小春先輩とベタベタしよって。ほんまキモいっすわ」

「ごめんなぁ」


笑いながらそう言って、そっと触れるだけのキスをした。




始まりを告げるように。



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