氷帝

翌朝
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それは昨日の夜のことだった。


「なぁ景ちゃん、もうええやん。俺もうほんまに限界やねん」

「嫌だ」

「ええやんお願いや!」


跡部の部屋のベッドの上、忍足に押し倒された跡部は眉間に皺を寄せている。


「嫌だっつってんだろ」

「もう俺ら付き合って3ヶ月たっとんのやで。そろそろええやんか」

「じゃあせめて金曜日まで待てよ!明日朝練あんだろうが!」

「だって、目の前に景ちゃんおんのに…何もせずに寝るなんて、できるわけないやん」


忍足は跡部を抱きしめて囁いた。


「っ………ん、なの…」

「な?優しくするさかい、俺に抱かれて?」

「〜〜〜っっ……わかったよ、クソ…」

「おおきに、好きやで」









そんなこんなで流されて、今朝目が覚めたら跡部の体には激痛が走った。


「忍足っ!てめぇ!」


跡部の隣で気持ちよく寝ていた忍足は跡部の怒号で起された。


「ん〜…あ、景ちゃんおはよう…体大丈夫か?」

「大丈夫じゃねぇよ!起き上がれねぇだろうが!」


腰の痛みのあまり、跡部は体を起こすこともできなかった。


「え、ほんまに?」

「本当だよ!ふざけんなよ!」

「う、スマン景ちゃん…ちょお調子に乗りすぎたわ」

「ったく…こんなんじゃ朝練行けねぇだろうが……」

「スマン!やったら俺も一緒に…」

「てめぇ朝練サボる気か!ふざけんな行け!」

「でも跡部が…」

「俺様がこれくらいでヘバるわけねぇだろ!いいからさっさと行け!」


本当は跡部も練習はしないまでも顔くらいは出したいのだが、しばらく起き上がれそうにない。


「車だし、問題ねぇよ。さっさと行ってこい」

「ん……わかった。ほんまにゴメンな」


忍足はしゅんと項垂れて言った。






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