四天宝寺
□二面性
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「小春〜〜っvv」
「ユウく〜んvv」
いつのように部室で行われるユウジ先輩と小春先輩の熱い抱擁。
それを冷めた目で見守る俺。
「先輩らほんまキモいっすわ」
俺がそう言えば、後ろにおった謙也さんが頭を撫でてくる。
「何すか」
「いや〜、可愛いなぁ思て」
「誰がっすか」
ムカつくわこのヘタレ先輩。
「おぉ怖;」
「財前は大人やなぁ。偉い偉い」
今度は部長に撫でられる。
「だから何なんすか。鬱陶しいんでやめてください2人とも」
部長の手を払うと、2人はからからと笑った。
ムカつく……
「師範、あの人らウザいっすわ」
俺はこういうとき、大体師範のところに逃げる。
師範と千歳先輩は四天宝寺テニス部の良心や。
けどこういう雰囲気のとき、千歳先輩はアホ2人に侵食されてまうからアカン。
「財前はん、ほんま偉いなぁ」
「師範まで何言うてはるんすか」
こんなんいつもの師範とちゃう!
「財前、財前」
千歳先輩が俺に手招きをする。
「?」
先輩んとこに行くと、先輩はかがんで俺に耳打ちした。
「ユウジと小春がベタベタしとるばってん、財前は冷静で偉いばいね」
「え……///」
何や、そういうことかいな。
ちらっとユウジ先輩の方を見る。
…相変わらず小春先輩とイチャついてますわ。
そら俺かて、嫉妬せえへんわけとちゃうわ。