四天宝寺

二面性
1ページ/5ページ




「小春〜〜っvv」



「ユウく〜んvv」


いつのように部室で行われるユウジ先輩と小春先輩の熱い抱擁。

それを冷めた目で見守る俺。


「先輩らほんまキモいっすわ」


俺がそう言えば、後ろにおった謙也さんが頭を撫でてくる。


「何すか」

「いや〜、可愛いなぁ思て」

「誰がっすか」


ムカつくわこのヘタレ先輩。


「おぉ怖;」

「財前は大人やなぁ。偉い偉い」


今度は部長に撫でられる。


「だから何なんすか。鬱陶しいんでやめてください2人とも」


部長の手を払うと、2人はからからと笑った。

ムカつく……


「師範、あの人らウザいっすわ」


俺はこういうとき、大体師範のところに逃げる。

師範と千歳先輩は四天宝寺テニス部の良心や。

けどこういう雰囲気のとき、千歳先輩はアホ2人に侵食されてまうからアカン。


「財前はん、ほんま偉いなぁ」

「師範まで何言うてはるんすか」


こんなんいつもの師範とちゃう!


「財前、財前」


千歳先輩が俺に手招きをする。


「?」


先輩んとこに行くと、先輩はかがんで俺に耳打ちした。


「ユウジと小春がベタベタしとるばってん、財前は冷静で偉いばいね」

「え……///」


何や、そういうことかいな。


ちらっとユウジ先輩の方を見る。

…相変わらず小春先輩とイチャついてますわ。



そら俺かて、嫉妬せえへんわけとちゃうわ。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ