BL
□蘭倉の日
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※女体倉間
「お願い!!」
「嫌だ」
「一生のお願いだってば」
「何回使ってんだよ!」
先程から…。大体のところ五分程度だろうか、サッカー部、部室では同じ会話が繰り返されていた。一人は薄紅色の長髪をおさげに結っている霧野蘭丸。もう一人は、プレイヤーの中での唯一の女子で紅一点である薄水色の長髪で左目を隠している倉間典だ。
「いいじゃんか、文化祭の出し物でメイド服着るくらい」
「ふざけんな!よくねーよっ
あんな、ふりふりしてふわふわしてる服なんか着たくねーよ!!」
そう、二人が言い合っている内容は一ヶ月後にある文化祭についてだ。サッカー部は部員の案により喫茶店をすることになった。サッカー部は大体顔が良いため良い客寄せになる。勿論、喫茶店ということでウエイトレスと執事服を着用することになった。マネージャーや三国は厨房で作る係な訳で、男しかいない喫茶店には女子しか来ない。しかし、そこで霧野は女子である倉間にも何か来て欲しいと言うことになり、二人の口論が始まった。そこで、この話の冒頭に戻るわけだ。
「じゃあ、ウエイトレス」
「あんな、短い丈のスカートなん
か履けるかボケっ!大体お前が着ろ」
「はっ、残念ですけど俺にはもう衣装届いてますからー」
「けっ」
周りの人々は二人の口論をBGMに文化祭の会議を続けていた、が
部活一の空気読め男が二人に近付いていった。
「ちゅーか、霧野。倉間絶対に意見曲げないと思うよ」
「なんでだ?」
「それは」
「おい、待て!」
浜野の言葉に何をされるかわかったのか、浜野の口を塞ぐべく足を進めようとするががっちりと霧野に腕を捕まれていて動けずにいた。
「倉間が、俺らのクラスの出し物でね、メイド服やらウエイトレスやら色々と着せ替え人形にされて最終的にー、」
「最終的に?」
「あ、あぅ」
「ミニスカメイド服+猫耳になっちゃったんだよね」
「ついでに、補足ですけど倉間
体育館で毎年やってるダンスで僕らのクラスのセンターやるんですよ」
浜野の爆弾発言により場は一瞬静まり返り、冗談だろうと倉間を見るが顔を真っ赤にして俯いているために事実なんだと決定された上に、いつの間にか現れた速水の言葉により、霧野の瞳が妖しく輝いた。
「へぇ、猫耳メイドにセンターかぁ」
「…ッ」
霧野はワザと未だに俯いたままの倉間の耳元に唇を寄
せ、耳に息が掛かるように呟いた。身をぴくっと反応させた倉間は未だに俯いたままだ。
「あ、そうそう。狩屋」
「何ですか?」
霧野は何かを思い出したかのように近場にいた後輩に話しかけた。
「倉間のヤツ、両方とも届いてるんだっけ?」
「はい、ありますよ」
「ちょっと、着替えさせてくるから頂戴」
「どうぞ」
一頻り会話が途切れれば二つの衣装を手に取り、未だ動かない倉間の腕を掴み、マネージャー室へと入ってしまった。
そして、数分後。
「はい!皆さんちゅうもーっく!!倉間が文化祭でアレを着てくれることになりました!と言う訳でお披露目ー」
先程よりもテンションが上がっている霧野が、一頻りの説明後にマネージャー室の扉が開いた。そこにいたのは…。
「お、お帰りなさいませ。」
顔を真っ赤にして、ふりふりのふわふわのメイド服を身に纏った倉間だった。髪型は霧野がやったのかツインテールで縛られていた。
ご注文は?
(なぁ、倉間。俺だけのメイドになってよ)
(はっ!?し、死ね!!)
20120311
蘭倉の日