クロス・オーバー「Schneeglockchen」
□スタイリッシュマウス
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「「ありがとうございましたー」」
最後のお客が店から退出した。その瞬間、他人を前に緊張しがちなマスターはカウンターに突っ伏した。
「怖かった・・・」
「なんで怖がるんだよ」
今まで女性客の相手をしていた星矢がカウンター席に座りながら頬杖をついた。
「いつお叱りのクレームが来るか・・・とか何か罵られたりするんじゃないかと思うと心臓飛び出しそう・・・もういっそ引きこもりたい・・・」
「いちゃもんつけるなら始末すればいいだろ」
「だ、駄目ですよっ!?そんなの日本国憲法では許されてませんから!!」
「妖怪だから関係ねぇよ」
「妖怪でも駄目ですよ!?えっと・・・その、”仁義”ってやつはないんですか!?」
「なんだそれ美味いのか」
「組の元トップなのにその発言はいいんですか!?」
旧鼠の物騒な考え方にあたふたとするマスター・・・それもそうだ。彼女は妖怪の世界(というよりもこの場合は『ぬらりひょんの孫』という作品だが)を全く知らない。おまけに臆病な一般人なのだ。
妖怪の、しかもどちらかといえばブラックゾーンにいるような悪い妖怪の思考とは合わないのである。
「それにしても疲れたな」
「自分と星矢さんだけしかいませんでしたし・・・」
「あいつらも買い出しと配達に行ったままだしよ」
「ですね。でも一段落しましたし、お茶にでもしません?」
「いや、その前に俺にはすることがある」
星矢の言葉に首を傾げるマスター
「ストレス解消してぇ」
「え?・・・じゃあ梱包材のプチプチでも潰します?」
「それよりもっといい方法がある」
「なんです?」
マスターがカウンターから身を乗り出して尋ねた。すると星矢はおもむろに髪を掻き揚げてこう言った。
「お前で遊ぶ」
彼本来の、鼠の顔で。
「うっひゃああああああ!!!」
突然の変異に思わず叫び声を上げるマスター
「いいぜぇ、その反応・・・これこそ”妖怪”って感じだよな・・・!!」
「おおお驚かさないでくださいぃぃぃっ・・・!!」
「”恐れ”させるのが妖怪だからな。他の奴ら同類だし」
「な、ならシェフさんはどうなんですかっ・・・!?」
「だってアイツ怖がらないしよ。むしろどつかれる。その点、てめぇはビビリだから恐れさせるのには丁度いい」
「丁度いいってなんですか!?」
「骨までしゃぶらせろ♪」
「それじゃあ死んじゃいますから!!」
元旧鼠組組長:星矢
現在の彼の趣味はマスター虐めである。
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