短編夢小説
□少女椿短編夢まとめ
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ヒロインは赤猫座の経理係/【少女椿】鞭棄さん夢*男装夢注意!夢主の一人称は「俺ッ子」です。
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「親方ァ、維持費稼いで来たぜぇ」
ドサ、と硬貨や札束が詰められた巾着が古びてぼろぼろになった机の上に置かれた。
ぼさぼさの頭、泥だらけの顔、くたびれた服を着て浮浪者同然になっている陽菜に「助かった」と言いながら赤猫座の親方は算盤を取り出して早速計算し始めた。
「また賭博かよ」
「アンタも懲りないねぇ」
「そのうち全部スっちまうぞ」
団員達から口々に言われながらも陽菜は「うるせぇ」と答えてそのまま外に出て行ってしまった。
外は秋模様・・・銀杏の葉が雪のようにひらひらと舞っていた。まるで金色の雪のようだ。
「おい陽菜」
赤猫座の団員の一人である鞭棄が銀杏並木を歩く陽菜に声をかける。
「んだよ鞭棄ぇ」
「お前・・・あんま危ないマネすんなよ」
「あー?いっちょまえにかっこつけんじゃねーよ下種野郎」
「女のくせに口が悪すぎンだろ」
「るせー」
鞭棄は陽菜に歩み寄り、彼女を見下ろした。
「みおろしてんじゃねーよ」
陽菜は黙ったままの同僚を睨みつけながら威嚇した。
小さいながらも彼女の視線は見る者を射竦めるようなものが込められている。
「お前よ、なんで赤猫座にこだわってんだ」
「あ”ぁん?」
「お前ぐらいの奴なら普通の奴らよりも・・・もう少しマシな生活できるんじゃねぇのか?」
彼の質問に陽菜は「つまんねーこと聞くんじゃねーよ」と言った。
「ここが、俺の場所と決めたから居るんだよ」
その言葉に鞭棄は驚いた。
まさか好きでこんな見世物小屋にいるなんて思わなかったからだ。
「なんで、だよ」
「んなの当たり前ぇのこと聞くな、ここの奴らを気に入ってっからだ」
「俺達を?」
「悪ぃのか?」
陽菜はニカッと鞭棄に笑いかけて踵を返し、またもや資金を稼ぎに夜の街へと向かって行った。
その笑顔に思わず鞭棄は赤面したまま硬直していた・・・
「・・・あの野郎、可愛いじゃねぇか」
そう言いながら立ち尽くす鞭棄だった・・・