短編夢小説
□天神様の細道で
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埼玉県川越某神社・・・
「ったく、面倒だなぁ・・・柳田さんが来ればいいのに」
百物語組の構成員である自分にとって、【新作怪談の様子を見る】なんて雑用は面倒な以外の何物でもない。
それに付け加え・・・今回の調査先は自分と相性の悪い変態(*少なくとも彼女はそう感じている)が管理している場所なのだ。
「大体なんで場所限定なんだよ、どうせ人間の女にえろいことしてるだけだろ・・・」
ぶっちゃけこの神社に足を踏み入れることすら嫌なのだが、これも仕事の為だ。少しぐらい我慢するべきだろうなぁ・・・とか思ってたら顔の無い少女たちが現れた。
「顔が・・・」
「帰りたいよぉ・・・」
「ねぇ、顔が・・・」
なるほど。【畏れ】は順調に集まってるみたいだ。どうせならもう少し脅えてもらおうか・・・ちょっとぐらい八つ当たりしてもいいだろう。
「もっと怖がって欲しいなぁ♪」
両手を交差させて吹雪を出現させる。もちろん、相手が凍らない程度に規模を小さくしてる。目的は殺すことではなく、相手を【恐れ】させることにあるからだ。
少女たちは悲鳴を上げて逃げ始めた。
そうそう、その調子で怖がってもらわないといけないからね。
やっと楽しくなってきたその時、とても不快な声が真後ろから聞こえてきた・・・と同時に抱きつかれた。
「<小生>の女に手を出すんじゃねぇ」
顔だけを振り向いてみると、機嫌の悪そうな包帯に包まれたブサイク面があった。マントの後ろには少女たちの顔がコレクションされており、個人的には物凄く不快感が湧いてくる。
兎も角、とりあえず吹雪を止めてやった。が、後ろの馬鹿は抱きついたままの姿勢を崩す気はないようだ。ちょっと一発殴らせろ。
「何しに来たでありマスか?」
「仕事ですぅー、お前がちゃんと仕事してるか見てくるように柳田さんに頼まれたんだよブサイク。抱きつくな離れろ」
「それなら<小生>の女に手を出すんじゃねぇ、陽菜」
「無視するなってか、下の名前で呼ぶなよ馴れ馴れしいんだよロリコン野郎」
「・・・また胸のサイズが変わったか?」
「人の話聞けやゴラァッ!!」
勝手に胸や太ももを触ってくるロリコンから逃げようとするが、相手は大鋏を軽々と扱う男・・・力技ではどうしても負けてしまう
逃げようと抵抗する自分に対して、後ろから抱きついてる切裂とおりゃんせは楽しそうにセクハラを続けてくる。誰かこいつぶん殴ってくれないか。