リクエスト・贈り物・頂き物
□「牡丹雪の火傷」
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憧れのキャラに素直に想いを伝えるなんて私には無理だ、絶対に無理だ、無理すぎる。
ネット上で「あの人に会ったら○○したい」とか抜かしている腐女子やドリーマー達の気がしれない。そんなことなんて、実際に会えば無理に決まってる。
そう、今の私のように“ツンデレッタ”になってしまうのが関の山だ
「ねぇ、陽菜」
「なんです柳田さん」
「とおりゃんせのところに行ってくれる哉?」
「えぇ、ちょ、なんで私がっ・・・」
「君さ・・・彼に会いに行きたい哉、と思ってさ」
柳田さんに言われ、私は「そんなこと思ってませんっ!!」と否定するが彼は「顔が真っ赤になってるよ」とツッコミを入れられた。思わず両手で顔を隠してみるが柳田さんはくすくすと笑うばかりだ。
「本当に君は分かりやすい”馬鹿”≪こ≫だよね」
「柳田さん、なんか私馬鹿にされてるような気が・・・今なんか馬鹿って言われたような、気もしてるんですけど・・・」
「気のせいだよ、気・の・せ・い」
柳田さんにチャカされながらも私は想い人でもある悪徳妖怪の元へと行くことになった。外に出ると周囲は白銀の世界・・・とはいえ、ここは北海道ではなく、まぎれもなく東京の深川だ。
季節は冬、珍しく東京にも雪が積もり寒さを更に悪化させていた。
シャリシャリと雪を踏み鳴らしながら、私は埼玉県の川越へと足を運んだ。