リクエスト・贈り物・頂き物

□ユア様から頂いた「切裂とおりゃんせ夢」
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「とおりゃんせ、とおりゃんせ、こ〜こはど〜この細道じゃ♪」

と、呑気に歌っていると友人の詩音に「その歌、本当に好きだな」と言われた。
いつもなんとなーく歌っているんだけど、別に大好きって訳じゃない。これをよく歌っていたおばあちゃんが大好きな歌だったからつい歌ってしまうのだ。

「ただ、歌うのはいいが気をつけろよ?妖の中にその歌を歌うロリコンがいるから」

詩音が私に忠告した。
ロリコンの妖怪って、凄い嫌だ。
重度のブラコンな詩音も妖としてどうかと思うけど、ブラコンは犯罪じゃないから別にいい。でもロリコンはアウト。犯罪だからダメ。存在そのものが許せない。

「まぁ、あいつがいるのはここから遠いから大丈夫だとは・・・ん?」

急に怪訝そうな顔をする詩音
どうしたんだろうと思っていると歌が聞こえてきた。


「とおりゃんせ、とおりゃんせ、ここはどこの細道じゃ♪」


あれ?これって・・・まさかとは思うけど・・・今、詩音の言っていたロリコンの声なんじゃ・・・
そう思っている内に急に景色が変わって、詩音がいなくなってしまった。

引き離されたのかな?

まぁ、これぐらい詩音と友達やってたら日常茶飯事だから今更だけど。
とりあえず詩音が来るまで待とう。
こう言う時は、「やばくなるまでその場を動かず、助けに行くまで待ってろ」と詩音に言われてるし。

そんなこんなで待っていると歌声がどんどん近付いてきた。
背後に殺気のようなモノを感じたから、とっさに避けて後ろを振り返った。

「<小生>を見てもリアクションが薄いでありマスな。」

・・・と、軍服男が言う。

「あなた誰?貴方が歌ってたの?」
「そうでありマス。<小生>は切裂とおりゃんせと申す妖怪でありマス。」

それを聞いた瞬間、私は切裂とおりゃんせと名乗った(まぁ長いから切裂でいいや)を蹴り飛ばしていた。
いきなり私に蹴り飛ばされた切裂は、<何事ッ!?>と言った表情をしながら私を見ていた。


「下手くそな歌歌ってんじゃないわよ・・・?音程とテンポが違い過ぎなのよ!何?アレンジのつもり?ふざけんなよ、歌に謝りなさい」


私は切裂にそう言い放って、土下座を強要した。

だって許せなかったのだ。決して許さないことを切裂はした。
私は決して許さない・・・歌を勝手に歌ってアレンジして得意げに歌う奴を。
人が作った歌は本人以外はアレンジしてはいけないのが私の考え、つまりはポリシーなのだ。
そんな私からみれば切裂の行為は言語道断である。

「とりあえずキッチリ歌えるようになるまで特訓よ。ほら、さっさと立って!発声練習から始める!」
「なんで<小生>がっ、ぎゃぅ!!」

切裂が口答えしそうになったので殴り飛ばしてやった。


「さっさとしなさい」


私が言うと、何故だか切裂は目を潤ませていた。

「怖いでありマス・・・。」

そんなことを言いながらチラッと私の顔を窺う。
怖いとは失礼な!詩音みたいなチートと違って私はか弱いのに
・・・なんてことを思っていると詩音が迎えに来てくれた。

「遅かったか・・・切裂、馬鹿だろお前。よりによって私の60%ぐらいの霊力を持ってる陽菜を狙うなんて。ひとがせっかくお前が陽菜に関わらないように陽菜をお前から遠ざけようとしたのにさ」
「だ、だって可愛かったから・・・こいつの顔が欲しかったんでありマス。」

それを聞いて詩音は呆れたけれど・・・私も女の子だ。可愛いと言われるとやっぱり嬉しい。

「助けないからな。私は忙しいし」
「酷いでありマス!貴公も<小生>と同じ妖怪でありマショう!?見捨てるでありマスか!?死音に心はないでありマスか!?」
「正直、弟の久音以外はどうでもいい。というか久音を狙う妖怪なんて金づるにしか見えない。お前も似たようなもんだし、助けなくても私と久音は困らない」

さすがは詩音・・・マジで痛いレベルのブラコンだ。
自分と同じ妖よりも人間である義理の弟のほうが大事なんて重度すぎる。

「とりあえず切裂、頑張って歌えよ。陽菜は自分が納得するまで話してくれないと思うから。前に別の馬鹿が自害しかけるレベルでヤバイから。じゃ、私はこれから妖怪退治の仕事あるから帰るわ」

そしてさっさと帰ろうとする詩音
けっこう酷いこと言われた気がするけれど、まぁ仕方ない。詩音は普通と違うのだから多少の暴言には目をつぶろう。

「じゃあ詩音、明日学校で」
「あぁ、また明日な」

詩音も大変だなぁ・・・両親がいないせいで詩音が生活費を稼いでるみたいだし。
本当に忙しそう・・・頑張ってね詩音!私も頑張って切裂と特訓するから!


「じゃ、<小生>も用事があるのでこの辺で・・・」


そんなことを言って逃げようとする切裂を捕まえて、なるべく優しく笑いかけてあげました。



「さ、始めましょうか」



私の言葉に何故だか切裂が悲鳴をあげたけれど・・・私と彼の特訓は始まった。
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