ぬら孫連載[Eine Fluchttochter]

□切裂とおりゃんせは病気,クトゥルーは末期
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切裂とおりゃんせの畏の世界で修行し始めてからすでに1ヶ月が経過しました。時間の流れって早いね!ベン=ジョンソン並みに早い!
・・・ぶっちゃけ時間の感覚が無くなりそうになるけど、1週間に一度は幹部の人や夜雀ちゃんが様子(という名の監視)を見に来てくれるので時間の間隔が狂わずに済みました。YATTAね!

そんでもって私の修行内容がすごくシンプルでした。
基礎体力が圧倒的に足りないと切裂とおりゃんせから指摘があり、この1ヶ月間の間は普通に運動とかだった。別に滝に打たれたりはしなくて済んだよ。最悪の場合クマと戦うと予想していただけに安心してた。


が世間は甘くなかった。渡る世間は鬼しかいなかったのである。ジーザスッ!オーマイプリン!


と、いうのも運動の内容が


「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」
「燐、そこで立ち止まったら<小生>に捕まるでありマスよ?」
「うっせっ・・・・・・!」
「ほらほら、もっと走ったらどうでありマスか?」
「っくそ!毎度毎度っ・・・面倒な変態めっ・・・!!」
「・・・そんなこと言っていると捕まった時の”お仕置き”が大変なことになるでありマスよ?」
「ぎゃああああああ!!いきなり私の前に現れるんじゃねぇぇぇぇ!!!」
「さぁ<小生>を恐れろ、燐!!」
「そんなん女学生に言ってろロリハンター!!」


【私の貞操】という名のモノを賭けたある意味命がけの鬼ごっこでした。


誰かー警察呼んできてー









「今日も疲れた・・・」

切裂とおりゃんせと彼の許した者しか入れない社・・・その社の中で私は思う存分ごろごろとする。
床が冷たくてとても気持ちが良いです。
でもこの1ヶ月間で出来た傷とか痣が痛いです。プラスマイナスゼロとは正にこのこと。
・・・ハスターから譲渡された能力は少なくとも回復系じゃねぇな。回復系なら即座に傷が治ってるはずだし・・・ま、それが分かっただけでも上等だけどね。

「夕飯が出来たでありマス」

社の中に設置された囲炉裏で切裂とおりゃんせが鍋の中の具材を取り皿に注ぎながら声をかけてきた。

というかお前、社の中に囲炉裏を設置するなよ

社は神様の住む場所なんだよ

・・・とまぁ、そんなツッコミを飲み込みながら晩御飯を食べる。鍋の具材が本当に美味しいです。

余談だが畏の世界に生えている茸とか山菜とかが鍋の具材です。肉とか魚?なにそれ美味しいの?
幹部とか食材も何も持ってこないよ!あいつら空気読んでないよね!
せめてTKGぐらい持参してくれ

唯一、偶にやってくる夜雀ちゃんが烏とか鳩とか川魚とか捕まえてきてくれることが救いです。え?烏や鳩を食べるなって?こっちは生活かかってるんだガタガタ抜かすな。

「しかし一向に能力が発現しねぇな」

切裂とおりゃんせが鍋の具材を食べながら話しかけてきた。

「ですねー」
「やっぱり命の危険にさらされないと無理でありマショうか。」
「なにそれ少年漫画みたいッスね」
「・・・いっそのこと本気で<小生>が襲えば発現するかもな」
「だが断る」

鍋を食べながら二人で話すのも日課となってきた。

確かに体力はついてきたが・・・いかんせん、譲渡された能力が何か分からず仕舞いである。
これでどうやって譲渡された能力を発現しろってんだ馬鹿野郎

誰にぶつけることのできないもどかしさを抱えながら、今日も疲れた体を休めるために眠りについた。
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