ぬら孫連載[Eine Fluchttochter]

□休止符:とんでもない戦況報告
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地獄、と聞けばなんだか恐ろしい場所を思い描く方が多いのではないだろうか?
実際のところ、地獄絵図・・・なんてものはこの世に生きる人々が描いたものなわけで、実際の地獄というものは実はどこまでも続く草原のようかもしれないのだ。

とはいえ、やはり地獄に関しての固定観念は拭っても拭いきれないので想像するなら是非とも「一般的な地獄絵図」にして欲しい。

なんでこんな無駄なことを喋ってるかって?

そりゃもちろん、目の前に本当の「地獄絵図」が広がっているのだから。

詳しく言えば、ハスター&クトゥグアが安部清明と山ン本五郎左衛門両名に対して出来うる限りの平和的で尚且つ暴力的な話し合いを行ったからだ。




「がっ、は・・・」

清明が苦しそうに血反吐を吐く。

が、クトゥグアは容赦無く清明の頭を踏みつけた。

「だからー、世界の平和の為に協力しろって言ってるだろ?」

清明の頭を踏みにじりながら、まるで友達と会話を交わすように喋るクトゥグア

「そろそろ了承してもらえないでしょうか?これ以上の暴力だといくら地獄に居ても死にますよ?」

ハスターは山ン本の胸倉を掴んで微笑んだ。顔に付いている返り血が白い肌に良く映えている。

「わ・・・分かったっ!!小娘を・・・燐とやらをわしの百物語組に入れてやるっ!!」

山ン本は必死にハスターに言葉を返した。ハスターは返事を聞くとすぐに山ン本を地面へと叩きつけた。

「がはっ・・・!!」

「素直なのは美徳と申しますね・・・クトゥグア、その辺にしておいて差し上げましょう」

ハスターに言われ、クトゥグアがニヤニヤと笑いながら清明の頭から自身の足をどけた。


「全く・・・俺らの話を聞いて反抗するなんて馬鹿な妖怪共だよな」

「実力も知らぬ若造共なのだ。仕方ないだろう・・・」

ハスターは呆れたように倒れる清明と山ン本を見た。息も絶え絶えな彼等の姿を見て笑いが込み上げているようだ。

「さて、と。じゃあ交渉成立ってことで百物語組の本部に行くか」

「クククッ・・・そうですね。彼等に連絡しないといけませんから」

「じゃ、妖怪2匹組さんよ・・・またな」

「今度会ったらカラオケにでも行きましょう。きっと我々は良い主従関係になれますから」

ハスターとクトゥグアは清明と山ン本に声をかけると、そのまま炎と共に地獄から消え去った。
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