ぬら孫連載[Eine Fluchttochter]

□これはひどい
1ページ/3ページ


「・・・といわけで、つまり俺たちは神様でこいつを逃がすためにこっちの世界に飛ばしたってことだ」

突然ですが、クトゥグアさんが柳田さんと切裂とおりゃんせさんに全部バラしやがりました。ちょっとそれ大丈夫なのか

ハスターさんのお姫様抱っこから解放された私はハラハラしながらその様子を見守った。なにせ何のトリップ特典の付いていない普通の人間なんだから選択肢がそれしかない。

「・・・俄かには信じられないね」
「そうでありマス。」

二人が胡散臭そうにハスターさんとクトゥグアさんを交互に見る。しかし柳田さんが「わかったよ。信じてあげる」と言ってくれた。

「で、なんで僕たちにそんなことを話したの哉?」
「この人間の小娘を引き取ってもらうためだ」




・・・なんだと?



「ちょっ、まっ・・・クトゥグアさん一体それどーゆーことなんすか!?」

私が慌ててクトゥグアさんに叫んだ。そりゃそうだ、別に私は百物語組に入りたいわけじゃないのだから・・・ってか、人間の私を妖怪任侠組に入れるこの神の神経が信じられない。ジーザスッ!

「どーもこーも・・・こっちの世界での戸籍とか作るときの手間が楽になる」

その時のクトゥグアさんの顔はまさに『ドヤッ』顔でした。誰かこいつの顔面にザキでも放ってくれ

「人間の小娘を百物語組に引き入れる、だと?」

切裂とおりゃんせさんは明らかに不服そう。柳田さんもちょっと顔つきが険しいです。

「そうですよ!私ってばただの人間なんですから!妖怪の集まる場所なんてただの死亡フラグ生産工場じゃないですか!!」

私もここぞとばかりに反論する。と、後ろで黙っていたハスターさんが私の左腕を掴んできた。
ハスターさんのほうを見ると・・・なんというのだろう、威圧感のある表情で私を見下ろしていた。


「勘違いをしないでください、燐さん。我々は貴方の味方であって救世主ではないのですよ?」


味方であって、救世主ではない

ようするに「クトゥルーさんから助けてやるが、お前を助けているわけではない」そういうことだろう。

あぁ、そうだ忘れていた

旧支配者は、邪神である

人間なんてどうでもいい、ただの虫と同じ存在だとしか思っていないのだ

私を助けたのも、まだ復活するべきでないクトゥルーが天変地異を起こしかけたから助けたのであって、私を助けたいから助けたわけじゃない

・・・となると、この場にいる4人は厳密に言えば全員・・・自分の敵ということになる

なんという四面楚歌
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ