ぬら孫連載[Eine Fluchttochter]

□どうしてこうなった
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いつの頃から見ていたかは忘れてしまったが、私は夢で誰かと何度も会っている。

顔とか姿は覚えてないけれど楽しく会話していたのだけは覚えている。例えば学校とか友達とか同人の話、相談事なんかもした覚えがある。

夢の中とは分かっているのに、その誰かと会うのが気持ち悪いような嬉しいような、とても複雑な気分を抱えて何年も過ごした。

そんなある日、事件は起きた。

「こんにちは、燐さん」
「話があるからあげてくんない?」

家に二人の男(茶髪と赤髪)が現れた。つっても、普通にチャイム鳴らして普通に家に招き入れただけだけれども。

なんだか良く分からない二人組だが、何故だろう普通に招いてしまっていた。おかしいなぁ、会ったことも無い人物を家に招くなんて

頭では理解しているのに身体が勝手に動き、口が勝手に喋っていた。

「話、とはなんです?」

私が尋ねると茶髪の男が「我々はこういう者です」と名刺を差し出した。赤髪の男もぶっきらぼうに名刺を渡してきた。

茶髪男の名刺には【旧支配者:ハスター】と書かれている。赤髪の男の名刺には【旧支配者:クトゥグア】と明記されている。

「・・・クトゥルフ神話?」

名前は、聞いたことがある。

ハスターとクトゥグアといえばクトゥルフ神話に登場する邪神・旧支配者の中で風と火の長とされる存在・・・つまりは架空の神話の神様の名前なんだが、何故この二人組はこれを渡したのだろう?ひやかし?

「どーせ悪戯とか思ってんだろ」
「・・・クトゥグア、口を慎め」
「へいへい」
「・・・燐さん」

名前を呼ばれ、少しばかり慌てて「はい?」と返事をした。




「異世界に逃亡して下さいませんか?」
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