◆妄想部屋◆

□アキ×リート
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「…アキさんってぇ、すっごくいい匂いしますよねぇ?何の香水、使ってるんですかぁ?」

久々に、モデルの仕事でカメラの前に立つ。

相手役の女性が甘えた声でアキの腕に身体を擦り寄せると、自分の胸の谷間を必要以上に強調させた。

「自分じゃ、あまりよく解らないけど…多分、アロマかな?香水は好きじゃなくて…」

カメラマンのイメージを崩さず、言われた通りに動きながら口元に笑みを浮かべ、女性の質問に答える。

「へぇ〜。男性の方でもアロマとか使うんですねぇ…」

今回の仕事は、新発売のチョコレートのポスターだ。

恋人同士がじゃれ合い、お互いに一口ずつチョコを食べさせ合うといった、ベタベタのあまあま系らしい。

「美羽ちゃん、次はベットに横たわるアキくんにチョコを食べさせてみようか!」

カメラマンがシャッターを切りながら、次々と指示をしていく。

それに応え、アキたちも流れを止めることなくカメラマンの指示に従った。

無防備にソファベッドに横たわったアキの頭上から覗き込むように、美羽が今にも唇が触れてしまいそうな距離でアキにチョコを食べさせる。

彼女の手から口の中に入れられたチョコが、ゆっくりと舌の上で溶け始めた。

「あま…」

「アキさん…甘いのぉ、ダメぇ?」

『恋人』らしくアキの金に輝く髪を無で、誰もが羨むいい男を『一人占め』している優越感に美羽が嬉しそうに微笑む。

「ダメ…じゃないけど。あまり食べる機会が…ね。」

ゆっくりと自分を覗き込む彼女の唇を指でなぞり、美羽の口元にアキもチョコを運んだ。

「アキさんって、付き合ってる人いるんですかぁ?」

「さぁ…どうだろう?それは君の想像に任せるよ…」

そう言うのと同時に、少し移動して自分の胸に寄り掛かっていた彼女の腰に手を回すと、美羽の身体を引き寄せて自分の腹の上に跨がせた。

「あ…んっ。」

「…欲しい?」

誘うように、アキが美羽を下から見上げる。

「いい子だから、口を開けて…」

「は…い。」

官能的な響きを含むアキの声に、美羽が恥ずかしそうに唇を開く。

「君も…甘いね…」

美羽にいくつめかのチョコを食べさせ、自分の指についたチョコを舐める。

その仕草に、美羽が耳まで赤くなった。

「…ふふっ。ごめんね?君があまりにも可愛かったもんだから、つい。少し、意地悪をしてみたくなって。」


◆◇◆


「…で。アキ、撮影はどうだったんだ?」

撮影後の、お馴染みのリートの部屋。

「今回は、新作チョコのポスター撮りで…」

ボトルからグラスに移したブランデーを舐めながら、アキは現場を思い出して口元だけを緩めた。

「恋人とじゃれ合いながら、お互いの口の中にチョコを入れ合うんだけど…」

”甘いな ”

苦笑いを浮かべて、リートがアキを見る。

「…試してみる?新作チョコ。」

”恋人らしく ”

スタジオからいくつかポケットに忍ばせてきたチョコの1つを口に含むと、アキがリートの肩を引き寄せた。

「それは『甘い』のか?」

「『チョコ』のように…」

甘いのは苦手なんだが…と言うリートの言葉を奪うように、チョコを口に含んだまま唇を重ね、我が物顔で舌を絡めていく。

甘く、雪解けのような蕩ける快楽を。

波のように、緩やかに揺れてどこまでも。

いつまでも、君と共に…

 
 

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