参加作品

□気持ちの再確認
1ページ/1ページ












あの日から数日――――




あの日以来、ブルマは嫌な予感が脳裏を占めて恐怖心を抱き
ベジータとルーサにはほとんど顔を合わさない



顔を合わすときといえば、朝食の時間と夕食の時間だけ―――




そして、今日も朝食を家族みんなとルーサで済ませてしまう



ブルマはいつもと変わらず、トランクスを悟天と同じ学校へと送り出す




ブルマはトランクスとともに玄関へ向かうため、廊下を歩いているとトランクスは歩みながらブルマにたずねる




「ねぇ、ママ…最近、元気ないみたいだけどどうかしたの」



トランクスは振り向くことなく言う



ブルマはトランクスの問いに少なからず驚くが小さく笑って言う




「きっと仕事疲れのせいよ…最近、構造を間違ったら大変なやつを作ってて……頭ばかり使ってるから」



「ふ〜ん、どういうやつなの?」




トランクスはチラッとだけ視線をやるが再び、前を見つめて歩く


ブルマは教え方に悩むものの、少しの沈黙の間で答えを見つけ出す



「トランクスには少し難しいけどね、媚薬って言うのを作ってるのよ、その液体を三滴ほど飲むと最初に見た人を好きになっちゃうっていうやつ…サイヤ人でも5滴で落ちちゃうのよね」



「………またそんなの考えてるの?前も失敗したとか言ってたじゃん」



「あの時は計画が悪かっただけよ、今回はきっちり私が作成したんだから失敗なんてありえないわよ!」





―――でも飲みすぎると気絶して、気がついたときに誰かを目にしたら大変なことになっちゃうんだけどね



それだけが難点で、試作品からそれ以上は進まないのよね




ブルマは小さく微笑むと、あっという間に玄関の前へとついてしまう



すると、ブルマはトランクスの背に合わせるようにしゃがみこんでトランクスを見つめる




「トランクス、学校のものは壊しちゃダメよ、それと普通の人間には優しく扱うのよ、いいわね」



ブルマは前にやってしまったトランクスの過ちに注意をかける


すると、トランクスは苦笑いをして一言




「もう大丈夫だよ…最近、修行やってないから気の上昇もさせてないから慣れてきたんだ、だから平気だよ」



「そう……でもたまにはベジータに鍛えてもらわなきゃダメよ、強い男の子の方がモテるんだからね」




ブルマはうれしそうに微笑むと、トランクスの頭を強くなでる



すると、トランクスはブルマの腕を退けて玄関の扉を開ける




「パパにはまた今度ね…それじゃ行ってきま〜す!」



「行ってらっしゃい、気をつけるのよ」




ブルマは玄関を開けて去ってゆくトランクスの背中に手を振る



すると、トランクスは一度だけ振り向いて笑うと、舞空術を使い、空を飛んで学校へと向かっていった




ブルマはいつものように見送ることができたことに一安心すると、玄関の扉を閉める


そして来た道を戻ろうと振り返る




――――だが、そこにはある人物が仁王立ちをしていた



それは、難点のある研究よりも大きな悩みを持つ


ベジータの姿




ブルマは久しぶりの二人の空間に緊張が走る


そして切羽詰っているとベジータが声をかける




「ブルマ、最近おかしいぞ」



と第一の声がこれ……



ブルマは作り笑顔ではにかむ様に笑うと口を開く




「別におかしくなんてないわよ、ただの思い過ごしじゃない?」



そういうと、ベジータは無言で沈黙が続く



ベジータはなんとも思っていないのだろうが、ブルマにとっては重い時間で緊張だけが先走ってしまう


すると、目をそらしてベジータの横を通り過ぎていこうとする




だが、それを許されるはずもなく――――


通り過ぎる間際で手首をつかまれる




そしてブルマは振り向くものの、不意にキスを落とされる



ブルマは驚きと久しぶりの感覚にギュッと強く目を瞑る


けれど、拒むようなことはしなかった




すると、それは段々と熱く激しいものへと変わっていき、角度を何度も変えて口付けられる



…その行為が終わると、ベジータはただ何も言わずに抱きしめる




それと同時にブルマもベジータの背中へと手を回して――



だが、ベジータはブルマを抱きしめながら言う




「お前、ルーサのことが気掛かりなのか?」



「………えっ…?」




ブルマは的中されてしまったことに驚きを感じる



それと同時に体が跳ね上がってしまって、これでは図星と言っているようなものだった


それでブルマはただ黙っているとベジータの鼻で笑う声が聞こえる




そして心地のいい、ベジータの声が耳元で響く




「……それなら心配するな、それに怪我も完治してるんだ……早くここから追い出せばいい」



「それはできないわ…あの子だって感情はあるんだもの、悲しい思いしちゃうじゃない」



「そんなの構わん……いいから宇宙船の修理でもして送れよ」




ベジータは最後まで言うと、ブルマの体を開放する


また、ブルマも抱きしめていた腕を解いてベジータを見つめる



だが、すぐに目をそらされて何も言わずに去っていく




ブルマはベジータの気持ちを再確認でき、心底うれしくなり微笑んで去っていくベジータの後を追う



そして、ベジータの腕に自分の腕を絡めると、一言




「……愛してるわ、ベジータ」



ブルマは久しぶりに自分の思いを伝えることで気恥ずかしさを覚える



だが、ベジータの返事は返ってこなかったものの、絡めたほうの腕の掌を握られる




ブルマはそれがベジータの愛情表現なのだと理解していると微笑んでベジータへと密着したのだった





------------------



69fes祭の期間中のお楽しみください!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ